最近は小麦の風味がする糖質ハーフパンでご紹介したレシピで良くパンを焼いています。
今回はハード系のパンに欠かせない魔法の粉「モルトパウダー」を使って低糖質パンを焼いてみました。
モルトパウダーとは、麦芽を乾燥させて粉末にしたものです。
麦芽とは、麦(大麦)の種子を発芽させたものでビールやウイスキー原料として有名ですね。
モルトパウダーは粉に対して1〜2%入れると酵素パワーでイースト発酵が促進され、生地の伸びや膨らみが良くなります。
また、パンの風味を豊かにする、焼き色がよくなるなどの効果も期待できます。
モルトパウダーのほかに、モルトエキスもあります。
モルトエキスは、麦芽を糖化して減圧濃縮したもので、麦芽独特の風味と甘味のある茶色の液体です。
基本的には同じものですが、ご家庭で使うなら保管や扱いが容易なモルトパウダーで良いと思います。
モルトパウダーは100gで150円前後と非常に安く手に入ります。
1斤焼くのに2〜3g程度しか使わないので100gあれば、かなり長持ちします。
モルトはハード系パンに欠かせません
実は最近までモルトパウダーの存在を知りませんでした。
ホームベーカリーでフランスパンを焼きたいな〜と思ってレシピを調べて知りました。
これだから素人は・・・(汗)
フランスパンは砂糖やバターを使いません。
小麦粉、イースト、塩、水というシンプルな材料だけで作られます。
イーストの餌になる糖分不足を補うのがモルトです。
モルトにはアミラーゼというデンプン分解酵素が入っています。
アミラーゼは、デンプンを分解し麦芽糖をつくりだします。
麦芽糖は糖分なのでイーストの栄養となり発酵を助けると共に生地中の糖分を増やします。
糖分が増えることで綺麗な焼き色がつくようになります。
モルトを入れることで良く膨らみ、見た目が良いパンができるという訳です。
小麦にはもともと微量のアミラーゼが含まれているので、モルトを使用しなくてもフランスパンは作れます。
ただ発酵時間やパンチの強さなど、職人技が必要になるのでモルトを使った方が安定します。
パン屋さんのハード系のパンにもモルトが使われている場合があります。
ホームベーカリー付属のフランスパンレシピにはモルトは入っていませんでした。
砂糖入ってるし・・・
・強力粉:260g
・薄力粉:20g
・砂糖:5g
・塩:4g
・水:180ml
・ドライイースト:3g
フランスパンは中力粉が使われますが、強力粉と薄力粉を合わせて中力粉にするというHB付属のレシピによくあるフランスパンもどきのレシピです。
薄力粉は、一般的に小麦粉として売られている「薄力小麦粉」で構いません。
レシピ通りに焼いてみたところ、確かにフランスパンっぽいバリバリした歯ざわりのよい食感になりますが膨らみが良くありませんでした。
それにフランスパンらしい大きい気泡ができません。
皮がフランスパンっぽいけど中身は少し硬めな食パンという感じ。
ホームベーカリーオンリーではこれが限界かも?と思いましたが、いろいろな方のレシピを調べるとモルトが使われており、モルトを入れることにより生地に大きな気泡ができると知りました。
私は近所の富澤商店で購入しましたが、ネットでも手に入ります。
安価で店頭でもネットでも手軽に手に入るモルトパウダーを使わない手はありません。
モルトパウダーは、成分が大麦麦芽のみの商品をオススメします。
ビタミンC、乳化剤、イーストフードなどが添加されているものは生地に思わぬ影響を及ぼす可能性があります。
大麦麦芽のみのモルトパウダーでもメーカーが違うとアミラーゼ含有量が多少違うようです。
フランスパン用の粉では「リスドォル」が有名です。
リスドォルは最初からモルトパウダーが入っているので、モルトを追加する必要がありません。
市販されているフランスパン用の粉を買う場合は、原材料名をよく確認してください。
開封したモルトパウダーは、密閉できる容器に入れて冷凍保存しましょう。
毎回少ししか使わないので少しでも劣化を防ぐためです。
私はドライイーストと一緒にジップロックのフリーザーバッグに入れて冷凍庫保管してます。
モルトパウダー入り糖質ハーフパンレシピ
低糖質パンが膨らまずに苦労されている方は多いと思います。
私も過去に失敗を繰り返し、苦労しました。
モルトによって無糖パンが膨らむなら糖質オフのパンを膨らますのに使えるのでは?と考えました。
そこで良く作る糖質ハーフパンのレシピで試してみることにしました。
以前の記事で紹介した糖質ハーフパンとほぼ同じですが、追加する糖分を減らしてモルトパウダーを追加してます。
グルテン量や水分量なども多少調整しています。
・ドライイースト(赤サフ)5g:糖質0.525g
・無塩バター10g:糖質0.02g
・オリーブオイル5g:糖質0g
・塩3g:糖質0g
・強力粉(キタノカオリ)80g:糖質55.2g
・大豆粉(みたけ失活大豆粉)10g:糖質1.56g
・グルテン粉(パナソニック)40g:糖質4.6g
・スキムミルク(よつ葉)10g:糖質5.33g
・クリームチーズ30g:糖質0.69g
・卵M2個:糖質0.2g
・お湯30g:糖質0g
・モルトパウダー2.5g:糖質2.0g
・追加の糖質として蜂蜜3g:糖質2.4g
1斤の糖質合計量は、72.5gになります。
6枚切りにすると、1枚の糖質量は約12.08gです。
8枚切りにすると、1枚の糖質量は約9.06gです。
以前のレシピより糖質量が微妙に下がりましたが、誤差の範囲です。
大豆粉は気持ち糖質オフにするために入れてます!というのは嘘で、大豆粉たっぷりのパンを焼かなくなり余ってるので入れてます(笑)
糖質をもっと抑えたい場合は、強力粉を減らして大豆粉を増やしてください。
強力粉を減らすと小麦の香りや食感が減って行き、大豆粉の香りが強くなっていきます。
低糖質パンに小麦感を求める方は強力粉を減らさない方が良いでしょう。
ちょっとくらい糖質が増えても美味しさを重視するなら、大豆粉なしで強力粉を10g増やしてください。
10g分小麦の風味や食感がアップして美味しくなります。
バターとオリーブオイルは、合計で15gくらいになればどんな割合でも良いです。
オリーブオイルだけでも大丈夫です。
外国産の強力粉を使う場合は気持ちお湯を増やしてください。
国産強力粉は水分が少なめの方が上手く行くので30gにしています。
ハードな糖質制限をしていて少しでも糖質を削りたい場合は、スキムミルクと蜂蜜を削っても大丈夫なはずです。
こちらも多少味や風味が落ちます。
糖分が減る分膨らみが減るので、モルトパウダーを3gくらいにした方が良いかも。
モルトは発酵促進剤と同じ働きをします。
入れすぎると過発酵して生地がダレるので注意してください。
モルトパウダーを水やぬるま湯で溶いて活性化させてから使う方法もあるようですが、私は粉と一緒に混ぜて使っています。
毎回水で溶くの面倒だし(笑)
焼き上がり
蓋ギリギリまで膨らみました。
モルトパウダーすげぇ!
焼き色がいつもより濃くなり、美味しそうに焼けています。
膨らみすぎなので、イーストは5gではなく3gで良さげ。
切ってみると、いつもより大きな気泡ができて、見た目がフランスパンっぽいです。
柔らかくて切るときに横に少し潰れました。
糖質が少ないため、パン自体に甘さは感じません。
気泡が大きいので凄く軽い食感です。
食べた時にモルト風味は感じません。
パンを焼いている時の香りが微妙に違う気がしますが、嫌な香りではありません。
バターをぬって蜂蜜をかけて・・・うまい!って糖質オフの意味をぶち壊し(笑)
時々しかやらないとは言え、糖質制限者にはあるまじき行為です。
パンが糖質オフなので少しくらい甘さを足しても良いだろうという油断がなせる業です。
ダメですねぇ〜。
生食でマーガリンを塗ろうとするとパンがつぶれるくらい柔らかいです。
ピーナッツバターなど硬いスプレッドを塗る場合は、冷凍したままのパンに乗せてそのままトースターへ突っ込んでます。
スプレッドは熱で溶けると垂れるのでトースターから目を離さないように!
ピーナッツクリームは糖質が高いものが多いです。
冨澤商店のピーナッツきな粉クリームも例に漏れず糖質が高いですが、時々無性に食べたくなります。
これ美味しいですよ。
このピーナッツクリームはやや甘いですが、全然甘くないピーナッツバターも好きです。
ピーナッツバターやピーナッツクリームは糖質も凄いですが、鬼のようなカロリーも恐ろしい・・・
糖質を摂るなら、摂る前に運動しましょうね!
モルトは蜂蜜や砂糖で代用できるか?
砂糖などで代用できると仰る方も居ますが、私は全く同じ効果は得られない気がしています。
膨らみや色付きという点では砂糖でも似た効果は得られると思います。
糖質量が増えますけどね。
発酵促進という意味でモルトは非常に効果が高いです。
ホームベーカリー任せの素人がフランスパンのような大きい気泡を作るにはモルトが必須。
モルトを入れることでホームベーカリーだけでフランスパンに近いパンが焼けます。
食パン形はどうにもなりませんけどね。
モルトパウダーを使って感じるのは、数グラムしか入れてないのに効果が凄いということ。
砂糖数グラムでは、これほどの違いが出ません。
モルトパウダーおそるべし。
モルトパウダーはハード系のパン用として売られていることが多いですが、普通の食パンにも使えます。
膨らみが悪くてお困りの方は、モルトパウダーを使ってみてください。
膨らみが良い美味しいパンが焼けるはずです。