いまさらですが、人喰いの大鷲トリコをやりました。
「人喰いの大鷲トリコ」は「ICO」「ワンダと巨像」に続く上田文人氏のゲームです。
最初の発表は2009年6月のE3で『The Last Guardian』というタイトルでした。
北米版は『The Last Guardian』のまま販売されています。
日本版のトリコという名前は、虜になる、囚われている、鳥の子供、鳥と猫という意味だそうです。
少年ジャンプのトリコ連載開始が2008年です。
トリコと聞いて漫画の方を思い浮かべたのは私だけではないはず(笑)
開発が難航して時間が掛かったせいかPS3からPS4へとハード変更が行われました。
上田文人氏のSCE退社やSCEAのジャック・トレットン氏から「トリコは開発中断状態にある」という発言もあり(後日否定コメントが出ましたが)、もう出ないのでは?という噂もありましたが、発表から7年後の2016年12月にやっと発売されました。
ずっと期待して待っていたので発売されて良かった。
ずっと積みゲーでしたけど(汗)
まず、結論から!
序盤〜中盤はトリコがいう事を聞いてくれず、操作も曖昧なまま進めるしかないのでしんどかったです。
本当に良く解らない事だらけで「意味わからん」って投げ出す人も居そうなほど。
序盤で「これクソゲーかも」と思いました。
でも進んでいくと「ん?面白くなってきたぞ」となってきます。
ストーリーは簡単なものしかありませんが、後半は多少演出が入って盛り上がります。
では、具体的に何でそう思ったかを書いていきます。
人喰いの巨大ネズミ
ゲーム開始後すぐに主人公の少年がトリコと対面します。
しばらくトリコを観察。
印象は「きたねぇーなぁ」って感じ。
見た目はどっからどう見ても鷲(わし)では無く巨大なネズミ!
汚いのでドブネズミっぽい。
ネズミの身体に羽根が生えてて奇妙。
トリコはゲームオリジナルの生物なので形状はともかく何で鷲???
鷲要素は羽根と鳥っぽい脚だけです。
見た目もネズミっぽいと思いましたが、動きだすとよりネズミっぽかった。
ポリゴンいっぱい貼りつけましたって感じの羽根が技術的な古さを感じます。
ワンダと巨像の時代とやってる事が同じです。
羽根が風に揺れる様子は確かに綺麗だけど、やや羽根がボリューム不足な気も。
うーん、目は可愛いけどトリコのデザインがどうも馴染めない。
アクションが古典的
主人公の少年を動かしてみると、どうもうまく動かせません。
動きはICOと似ているかな。
壁の近くで歩くと勝手に壁に手を添えるなど細かな動きまで気を使っているのは解ります。
そのせいかは判りませんが、イチイチ動きに反動が付いているのでコントローラーに素早く反応せずグニャグニャしている印象を受けます。
この独特の動きはしばらくやっていると慣れますが、アクションゲームなのでもう少しキビキビ動いてほしいというのが本音です。
動きより気になったのが主人公があちこちに張り付くところ。
壁の横を通りたいだけなのにイチイチペタッと張り付きます。
トリコが近くに居る時にアイテムを取ろうとすると、トリコに張り付いてイライラします。
このように意図せず色んなところに張り付くのが煩わしいです。
主人公のアクションは歩いて走ってジャンプして、壁に登って物を押してギミックをこなす。
変わったアクションや動きが出来る訳でもなく、今時のゲームでは当たり前に出来る事しかできません。
どっかで見た事のある動きしか無いので主人公のアクションに面白味がありません。
色んなところがストレスフル
キャラクターの動きと同様にカメラの動きももっさりです。
辺りを見回しながら進めるゲームなので3D酔いに配慮しているのかも知れません。
私は3D酔いしませんでしたが、酔う人も居ると思います。
オプションにカメラスピードを増減させる設定が欲しかった。
主人公は攻撃できません。
敵を突き飛ばすくらいは出来ますが、敵をターゲットできないので動き回る敵に当てるのがムズイ。
基本攻撃が出来ないので敵が居たらひたすら逃げ回るのみです。
棒持って振りまわせよ!と突っ込みたくなります。
主人公はトリコに乗れます。
乗るというよりトリコの身体にしがみつくって感じです。
ゲーム中トリコへの昇り降りを頻繁に行いますが、上りにくく下りづらいです。
ワンダと巨像をやった方なら解ると思いますが、あのまんまなのでイチイチトリコの身体を伝って背中まで行かねばなりません。
下りる時も1ボタンで下りれません。
一応下りるボタンはありますが、落下中に大体トリコの身体のどこかに触れてしがみついてしまいます。
逆さになってしがみついた時は本当に面倒です。
本作は狭い場所が多く崖下などに落ちると死にます。
そんなところでなかなか下りてくれないからと下りるボタン連打してると意図しない場所から下りて落下死します。
このパターンで何度も落下死しました・・・
主人公がトリコの身体に隠れて見えない状態が頻発するのも落下死する要因です。
本作は和ゲーですが、大したチュートリアルがありません。
体力ゲージもマップもありません。
お金の概念もレベルアップもありません。
何をやれば良いか、どこに行けば良いかの指示もありません。
本当にないない尽くしでどうしたら良いか困る場面が多くあります。
同じ場所に長居するとヒントのボイスが流れる事があります。
ボイスが具体的な内容ではなくヒントにならない場合もあります。
ヒントがあるだけマシとも言えますが、こんな解るわけねぇ!という場所もあります。
あとは、特定の場所でコントローラーのボタン説明が出るくらいです。
このコントローラーボタン説明は拾えるものがある場所や動かすものがある場所に行かないと表示されないので、とにかくマップ内を歩きまわりましょう。
ゲーム序盤でトリコに命令できるようになります。
「命令出来るようになりました」と表示されるだけで、どのボタンで何の命令が出来るのかさっぱり解りません。
試しに命令してみてもトリコがバカ過ぎて動いてくれません。
こっち行けと言ってるのに反対方向に行ってみたり、動いてくれなかったり。
高いところに運べって言ってるのに反応無かったり、反応していても動きが鈍すぎて反応しているか判断が難しかったり。
猛獣なので言う事を聞かない設定?
トリコが言う事きかないのが良いという意見もあるようですが、私はそういう気持ちになれませんでした。
解りづらさの原因になっているとも感じました。
ゲームなんだからトリコは利口にしとこうよ〜って思います。
本作はどこに進み何をすれば良いかをを探すゲームで、トリコが動いてくれないと答えが出ないところが多くあります。
正解の行動をしていてもトリコの気まぐれで動いてくれない事があります。
トリコが無視してる事をユーザーが知覚できて、ご機嫌取る方法があれば良いですけどね。
反応してるかどうか判りづらいのが良くありません。
序盤でトリコに乗って壁を超えるのがユーザーにとっても最初の壁です。
ある場所で多くの人が何をすれば良いか解らず進行できなくなるでしょう。
トリコが主人公を乗せたままジャンプで移動してくれるという事に気が付けないと詰みます。
トリコに乗ると主人公だけでは行けない場所に行けると解っていても、トリコはすんなり動いてくれません。
こっちに足場があるから多分正しい方向だけどトリコが全然その方向に動いてくれません。
やっとトリコの向きを合わせても反応なし。
動かないって事はやっぱり他に行く場所があるのか?ともう一度時間をかけて周辺を探しても何も見つからない。
やれることが無いので仕方なく再度トリコに乗るとあっさりジャンプして進む・・・
序盤ではこんなパターンが良くあります。
全てトリコの頭が悪さが原因です。
それをトリコの気まぐれと言うなら、気まぐれで進めるかどうかが決まるってのは攻略じゃないでしょ。
それも序盤で操作方法すら曖昧で良く解ってない時ですからユーザーは混乱します。
どうやって進むか、ギミックをどう動かすか、そういう部分で悩むなら良いけどさぁ。
たまにトリコの動きで答えが解る時もあります。
トリコに乗って移動できる場所はトリコがその方向を向いて吠えます。時々ね。
高いところに入口へがある時もその周辺で座って上を向いてたりします。
これ、やらない時があるんですよ。
トリコの背中に乗って首筋を撫でていると命令しなくても勝手に正しい道に進んでくれる場合もあります。
なんだそりゃって感じですが・・・
ユーザーの操作が間違っているなら納得できますが、ユーザーがどうしようもない要因で進めないのはストレスが溜まります。
同じ事を何度も何度もやらないと進まないのは本当にきつい。
よくこれで出したな〜というレベルの酷いカメラ
主人公が細い足場を渡る時やジャンプする際は、主人公の後ろにカメラを配置するのが1番失敗がありません。
でも足場が主人公に被って見えません。
トリコは主人公に付いて歩きます。
カメラも主人公に付いてきます。
するとどうなるか?
トリコとカメラの位置が被ります。
画面がトリコの尻や首に覆われ主人公や背景が見えなくなります。
トリコは大きいので主人公がトリコに乗った状態でトリコ裏側に入り込むと主人公の位置が判らなくなります。
カメラを回しても主人公がトリコの股下に入っていて見えない事があります。
カメラが障害物に当たって周らず、主人公が見えない場合もあります。
トリコとカメラが近いせいで羽根がカメラ被って主人公が見えない事も。
主人公が見えないのでどうやって操作すれば良いのか・・・
カメラは基本壁に埋まりません。
壁際でカメラを回そうとするとカメラが壁に引っかかるので回せなくなります。
そのせいで狭いところでは周りが見渡せません。
本作は狭いステージや壁に囲まれた場所が多くて見やすい位置にカメラを回せません。
カメラは壁に埋まらないのですが、時々カメラが壁に接すると画面が真っ黒になります。
PSの電源落ちた?ってくらい真黒になります。
広さは関係なく、カメラが壁に接していると起きやすい現象です。
狭い場所で視点変えたくてカメラ回すと、カメラがトリコの体内に入って画面が黒になる事もあります。
そんな時は焦らず慌てずカメラを反対方法に回してやりましょう。
序盤に主人公が鎖から鎖へ飛び移って移動するシーンがあります。
トリコが後ろから棒状の足場をジャンプしながら着いてきます。
しかしカメラが回せないのでズガーン、ドカーンって音しか聞こえません。
後ろでトリコが暴れてる?と思ってカメラを回そうとしても回らない。
やっとカメラ回せる場所があって確認するとトリコが着いてきている音だったと解りました。
せっかく着いてきている描写があるのにカメラのせいで見えないのは酷いと思いました。
カメラが回せないなら引きのカメラを用意してよ・・・
トリコが一生懸命主人公についてくる可愛いところなんだからさぁ。
このようにカメラは糞です。
カメラの動きがもっさりなんて、カメラ位置やカメラ制御に比べたら可愛いものです。
幾つかダメポイントを挙げましたが、どうダメというのを語るまでもない酷さです。
カメラに関してはゲームが終わるまでイライラさせられました。
カメラが良かったらゲームの印象が違っていたでしょう。
変わり映えのしないマップ
本作の舞台は非常に狭い場所です。
なので、ゲーム中ずーっと同じ風景です。
似たような背景ばかりで進行感がありません。
同じギミックの繰り返しも多いです。
マップを覚えて行ったり来たりさせる事が無いので良いですが、自分が今どこに居るのかよく解りません。
ワンダと巨像は世界を回る感じだったから風景にもバリエーションがありました。
舞台はICOに近いです。
開発が上手く行かずに小さくまとめざるを得なかったのかな。
良いところは無いのか?
ダメな部分が目立つので色々書きましたが、良いところもあります。
やっているうちにトリコに愛着が出てきます。
ペットがやるような可愛い動きもあります。
トリコの動物っぽい動きのリアルさにこだわりを感じます。
主人公は、かなり高いところから落ちても死なないのが良い!
少しの間足を引きずって動きが鈍くなるけどすぐに戻ります。
この丈夫さはゲラルトさんに見習ってほしい(笑)
高くて狭い足場が多く、尻の穴がヒュッとしっぱなしです。
高所恐怖症の方には地獄かも。
そんな場所で落下死しても割と近いところからリスタートします。
リスタートで凄く前に戻されないのは有難いです。
死亡によるペナルティーもありません。
本作でのアイテムはトリコの餌だけです。
凄くシンプルで良いと思います。
あれこれ集めなければいけない面倒さがありませんでした。
描画が重くなることはありましたが、フリーズバグなどは1度も起こりませんでした。
アクションゲームにありがちなキャラが背景にハマる事も無かったです。
もっとこうしてほしかったという点もあります。
トリコと主人公が徐々に仲良くなる設定だと思いますが、仲良くなる過程がおざなりです。
「え、もう仲良くなったの?」と思うほどあっさり仲良しです。
警戒する獣と心を通わす過程をもっとゆっくりじっくり見せるべきです。
それに伴って命令を徐々に覚えて行けば操作で混乱することも無かったでしょう。
トリコの使い方をもう少し増やしてほしかった。
トリコの意外な攻撃方法は予想していませんでしたが、それ以外は予想の範疇でした。
でかい身体を使ってやりそうなこと、やれそうなことしかやりません。
トリコは人々に怖れられていますが意外と弱いです。
人々を恐怖させる怖ろしい場面や演出がありません。
ゲーム内で怖さが解る演出が足りませんね。
これは見た目ですけど関節設定の詰めが甘いのかダイナミクスのせいか、主人公が梯子を上る時などに両手足がプルプル震える事があります。
プルプルするのはICOにもあって同じ理由だと思いますが、PS4でも改善されていません。
大した問題じゃないけど自然な動きにこだわるならこの点も改善すべきです。
7年かけてるからどれだけボリュームあるかと思ったらあっさり終わりました。
ゲームとしてはかなり短いと思います。
やっとトリコに愛着が出てきたところで終わります。
3倍くらいボリュームが欲しい。
トリコのデザインはやっぱりイマイチ。
もう少しかっこ良いとか悪そうなら可愛い動きとのギャップが出せたと思います。
でかいけど可愛い見た目で、猫動画のように見ているだけで癒される感じでもアリ。
私は最後まで羽根付きネズミにしか見えず、可愛くて堪らんとはなりませんでした。
上田氏のゲームが好きなら買いだけど・・・
どんな人にもオススメ!と言えないのが正直なところ。
幾つかある良さを潰すほどのダメなところが目につきます。
もう少し丁寧に作り、ボリュームがあれば神ゲーになっていた可能性はあります。
面白いかと聞かれたら「普通に楽しめる」と答えます。
クソゲーではないけど神ゲーでもない良ゲーってとこでしょうか。
これまでの上田氏のゲームをプレイしてきたなら受け入れられると思います。
中途半端な感じも投げっぱなし感も同じです(笑)
本当に同じだから新鮮味が無いとも言えます。
元々PS3のソフトだったからか全体的に古さを感じます。
グラフィックもそこそこ綺麗ですが、今時の感動するほどの凄さはありません。
PS4初期のタイトルだから当時は綺麗だったのだと思います。
私は上田氏のゲームが嫌いではありません。
でも、本作は粗が目立ちますね。
面白さや完成度という意味ではICOとワンダと巨像の方がオススメです。
トリコもICOやワンダと巨像と同じくゲームを終えた後で記憶に残るゲームではあります。
何だかんだ言っても独特な魅力があるゲームなのは確かです。
機会があればやってみてください。
良いゲームライフを!
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