今回は、Detroit: Become Humanの紹介です。
2019年7月のPS4フリープレイになったので、PS Plus会員で既にやってる方も多いでしょう。
私はパッケージを買ったまま積んでました・・・
デトロイト ビカム ヒューマンは、フランスにあるクアンティックドリーム社(Quantic Dream)のソフトです。
ジャンルはオープンシナリオ・アドベンチャーとなっています。
聞きなれないジャンルですが、これはプレイヤーの選択で未来が分岐して物語が変化していくアドベンチャーの事を指します。
これまでの同社PS作品の流れと同じキャラ移動以外のアクションはQTE(Quick Time Eventの略)がメインになります。
クアンティックドリームは過去にPS3で「HEAVY RAIN」や「BEYOND Two Souls」というソフトを出しています。
リアルすぎる質感
PS3のHEAVY RAINをプレイした時に「キャラがリアルだな〜」と感じましたが、PS4のデトロイトはグラフィックが格段にレベルアップしています。
肌に質感が生っぽく「PS4ってここまでリアルに出来るんだ〜」と見とれてしまいます。
肌の質感、しわ、表情、染みやニキビなど、マジでリアル過ぎ。
雨に濡れた肌、涙で濡れた頬なども凄いクオリティです。
キャラクターに目が行きがちですが服や装備の質感も凄いです。
本作では雨、雪のシチュエーションが多く出てきます。
服の生地に雨が染みこんで、ずぶ濡れになる、その後に時間が経つと乾いていく、雪が服に付く様子もリアルです。
ちょっと近未来感のある衣装デザインは、ファッションデザイナー出身のデザイナーが担当しています。
ネット記事のインタビューで「実際に縫製出来ない衣装デザインは無い」と言ってました。
ポケットの位置や使い勝手など、こだわりが感じられます。
そんな細かいところからもリアルさは出てくるのでしょう。
背景のクオリティも半端ない。
部屋にある物からその部屋に住む人の生活感や趣味が解ります。
だらしない見た目のキャラは生活もだらしなく部屋が汚い。
使われなくなった机や椅子に物が置きっぱなしになっているなど、実際にありそうな室内が描かれています。
屋外の風景も光や影の付け方が自然です。
雪の表現って割と難しい分野だと思いますが雪っぽさが上手く表現できています。
背景が綺麗なソフトは数多くありますが、ゲームのグラフィックとしての綺麗さも確実に上位に入るでしょう。
全てがリアルで非常に高品質なグラフィックです。
舞台がデトロイト
タイトルのデトロイトは、お話の舞台がデトロイトだからです。
デトロイトはアメリカのミシガン州南東部にある都市でカナダにも接しています。
ゲーム内に本当にデトロイトにあるランドマークが登場します。
スピリット・オブ・デトロイト像が持っているのは、左手に神を表す太陽、右手に人類を表す家族だそうです。
モニュメント・オブ・ジョー・ルイスは、アメリカ出身のボクサー、ジョー・ルイス右腕のモニュメントだそうです。
デトロイトは自動車産業で有名な街、と言うか有名だった街ですね。
元々は馬車や自転車の製造が盛んな街でしたが、1899年あたりから自動車工業が盛んになりアメリカの自動車産業と共に発展した街です。
アメ車のビッグ3(ゼネラルモーターズ、フォードモーター、クライスラー)の本社や工場もデトロイトにありました。
時は流れ、世界で日本車が売れるようになるとアメリカの自動車産業が衰退していきます。
デトロイトにある自動車メーカーでも大量解雇が頻発し、下請企業の倒産も相次ぎます。
仕事が無くなって人口流出が進みました。
1950年代の人口は約190万人でしたが、2016年は約67万人になったそうです。
約64%減って、3分の1しか人が居なくなる訳ですから相当酷いですよね。
人が減るとより仕事も無くなります。
ダウンタウンは浮浪者で溢れ、治安悪化が地域の問題となります。
そんなこんなで、2013年にデトロイト市が財政破綻します。
意外なことにデトロイトの破綻が知れ渡ると街の中心部にあるビルを格安で借りられるという事でベンチャー企業が集まり始めました。
その結果不動産市場が活発化して投資が増え、徐々にですが活気を取り戻しているそうです。
未だに郊外はゴーストタウンのままで治安が良くないそうですが、廃工場などの雰囲気が受けてミュージックビデオや映画撮影に使われているとか。
ヒップホップで有名なエミネムの出身地がデトロイトで、自伝映画「8マイル」の舞台となっています。
映画監督のフランシス・フォード・コッポラやサム・ライミもデトロイト出身です。
映画と言えばゲームと同タイトルの映画「デトロイト」が2018年1月に公開されました。
映画は1967年に起こったデトロイト暴動の話なのでゲームとは関係ありません。
ゲームにもデトロイト暴動をイメージしたのかな〜というシーンがありますけどね・・・
なんで舞台がデトロイトか?
本当の理由は解りませんがデトロイトは工場が多い地域でアンドロイド製造に向いているという理由かな。
でも、人件費が高いアメリカ国内にわざわざ生産工場作らないよね。
実際にアンドロイドが量産されるとしたらスマホや車と同じで中国やメキシコあたりで生産されそう。
アメリカの輸入関税が凄い事になってる設定かな(笑)
近未来2038年
ゲームの時代設定は近未来の2038年。
アンドロイドが人間に代わってあらゆる作業をしてくれる世界です。
シンギュラリティ(AIが人間の知性を超える)が2045年までに起こると言われていますが、それは知性面でのこと。
あと20年でゲームのように人型のアンドロイドが街をウロウロしてる世界は来ないでしょう。
買い物したり、工事現場で働いたり、家事全てをこなして子供の面倒を見るアンドロイドが出来たら素晴らしいと思いますが、センサーを当てないと本物の人間と見分けがつかないくらい凄いのはあと100年経っても出来るかどうか・・・
今から100年前は1919年、その11年前の1908年に自動車大衆化の象徴であるT型フォードが発売されています。
100年経った現在もガソリン車が現役です。、
自動運転車もまだ一般化していない事から移動を伴う機械は技術的にも法的にも課題山積ですよね。
エロ要素を含んだものは普及が早いとも言われますが(笑)
まぁ〜ゲームの設定なので真面目に考えず、SFとして割り切りましょう。
主人公は3人!中心人物は・・・
本作の主人公の3人(3体?)居ます。
各キャラは、本当の役者さんをCG化しています。
コナーという刑事アンドロイドが「ブライアン・デッカート」
マーカスという介護サポートアンドロイドが「ジェシー・ウィリアムズ」
カーラという家事サポートアンドロイドが「ヴァロリー・カリー」
本人たちがモーションキャプチャとフェイスキャプチャをしている映像がゲーム内特典で見れるようになります。
脇役として登場するカール役の「ランス・ヘンリクセン」がおじいちゃんになってて良い味出してます。
映画エイリアン2でビショップというアンドロイド役だったので顔を知っている方も多いはず。
他にも多くの役者さんが起用されています。
本作の原点は、GDCというカンファレンスのPS3用技術デモンストレーションとして発表された「KARA」です。
このデモで既にヴァロリー・カリーがモデルになってました。
発表時「Kara」はQuantic Dreamsの次回作ではなく、そのキャラクターや世界観、ストーリーも新作とは無関係とコメントしています。
デモが予想以上に好評でゲーム化された経緯があります。
発売前のデモムービーもカーラ役のヴァロリーカリーのイメージが強かったです。
パッケージの中央がカーラなので、カーラが主役で他キャラが密接に絡むストーリーを予想してました。
実際はどうだったか?
見ず知らずの3人が話が進んでいくごとに密接に絡んで・・・きません!
ネタバレになるので詳しく書きませんが、コナーとマーカスはストーリー的に直接的な絡みがあります。
一方、カーラはなかなかコナーとマーカスに絡みません。
最初はカーラをメインで考えてたけど、ドンパチさせたい、アクションも入れたい、捜査もさせたい!などの経緯で絡めなくなったのか、敢えて絡めないようにしたのか。
こう書くとまるでカーラがサブキャラ扱いだと誤解されそうですが、カーラがメインキャラの1人なのは間違いありません。
話のボリュームも他キャラと同じくらいあります。
でもストーリーの中心に居ない印象なんです。
カーラ編が1番切なく泣ける良い話なので、もっとストーリーの中心に置いてほしかったなぁ。
アンチャーテッドがハリウッド映画なら、デトロイトは週間ドラマですかね。
クアンティックドリームのゲームは心の葛藤テーマが多いのでヒューマンドラマ風です。
それがクアンティックドリームらしさなので決して悪い事ではありません。
ドラマで言うと1シーズン分あるか無いかくらいのボリュームです。
集中してプレイすれば2日くらいでクリアしちゃいます。
短いのは確かですが、どのキャラクターのお話も手抜き感はありません。
それぞれ個性がある話なので1週目は飽きずに進められました。
各キャラごとにカメラ演出やカラー設計を変えて、どのキャラのお話かを解りやすくなるよう工夫されています。
周回プレイをするなら、そういった演出面に目を向けても面白いと思います。
残念なのは、話が3キャラで分割され途切れ途切れなプレイスタイルになっているところ。
連続で話が進められないのでキャラクターへの思い入れや一体感が途切れます。
プレイヤーが敵味方両方を演じる展開の影響もあってやや混乱しました。
この点でもカーラがメインの話ならまとまりが良くなっただろうな〜と思います。
複雑なシナリオ分岐でリトライに向かない
ゲームをしていると何度も選択肢が出てきます。
選択決定するまでの時間制限が厳しい場合もあります。
選択によって登場人物の好感度が上下したり、物語の結末が変わります。
人として正しい事がゲーム内では正しくない場合もあるのが難しいところです。
話はチャプターで区切られているので、いつでも途中からやり直す事が可能です。
公式では「先ずは自分の感じるままにエンディングまでやって欲しい」と言っています。
それが自分が選択した結果の物語だからだそうです。
私もどんなことがあっても先ずは最後まで通しでプレイすることをオススメします。
本作は周回ゲームです。
何度も周回して前に選択しなかった答えを選んでどう展開が変わるかを楽しむという遊び方。
周回プレイする時間があるなら他のゲームをやりたい私には向かない作りです。
それでもゲーム開始前「全部の選択肢をやって全展開を見てやるぞ!」と思ってました。
ゲームを始めて全部見れると思った私がバカだったと気が付きました。
チャプターごとにどう分岐しているかが解るフローチャートが用意されています。
フローチャート内に1〜2個ある再スタートポイントから途中開始することは出来ますが、区切りが大まか過ぎて1つの変更でも割と長いリプレイを要求されます。
各話で積み重ねてきた好感度によって開かない選択肢もあります。
選択肢が開くかどうかは、それまで選択してきた内容とと好感度が関係します。
何で選択肢が開かないかが判らず、かなり前のチャプターからやり直さねばならない事もあります。
前半のある変更を後半のストーリーに反映させるには、変更したチャプターから後半まで続けてプレイせねばなりません。
ざっくり言うと途中である選択をして、その後の変化を見るためにはそのまま終わりまで進めねばなりません。
途中で仲間が死ぬか生き延びるかによって後半の展開が変わる事もあります。
主人公が途中で死んでしまうことも・・・
後半になればなるほど1チャプターが長いのでやり直しがしんどいです。
選択肢を変える以外、やる事が全く同じなので新たな展開に入る前に飽きます。
違う選択肢を選ぶのが大変すぎ!
頑張ってやり直したのにショボイ展開だとガッカリです。
極め付けが、しんどいやり直ししてエンディング手前まで来て突然のPS4システムエラー!
違うエンディングを観るために2回やりなおしましたが、同じシーンでエラーになって気持ちが折れて止めました。
途中のチャプターから再開したのも含めるとトータルで3週分くらいはやったかな。
リプレイ時のシーン送りやボイス飛ばしが無いのがキツイ。
フローチャートの好きな分岐部分からやらせてくれれないのも不親切。
見れなかったエンディングはYouTubeを見ました・・・
賛否の分かれるQTE
好き嫌いが凄く分かれるQTE。
QTEが嫌われる意見として、熟練しない、失敗のペナルティが大きすぎる、ゲームとしてつまらないなどなど色々あります。
私は好きでも嫌いでもはありません。
バリバリのアクションゲームにいきなりQTEが入ると戸惑いますけどね。
本作は難しいアクションがない代わりに、アクションシーンはほぼQTEになります。
シーンごとに通常操作かQTEかが分かれているので違和感はありません。
何かを調べたりモノを取ったりするのもボタン操作なのでQTEとの相性は良いと思います。
ゲームプレイしていて特に不満は感じませんでしたが、QTE操作を的確にやらないとキャラが死ぬことがあります。
そういう意味で本作はQTE失敗時のマイナスが大きいゲームと言えます。
難易度は「CASUAL」と「EXPERIENCE」が用意されています。
難易度「EXPERIENCE」は、以下のようになります。
・カメラを右スティクで自由に動かせる
・物を手に取ったりする操作が複雑になる
・選択肢を選ぶ時間が短くなる
・時間の経過が早く他キャラに急かされる
・動画再生やミュートなどでタッチパッドを使う
咄嗟のコントローラー操作が苦手な方はゲームを始める際に「CASUAL」を選びましょう。
ストーリーやキャラに集中したい場合もCASUALの方が良いです。
CASUALでもストーリーに変化はありません。
選択肢の制限時間が緩くなる他、QTEが○×ボタンしか出なくなるので進行が楽になります。
コントローラーのタッチパット使用は雑誌のページめくりくらいしか使用しません。
私は咄嗟のQTE操作を失敗しまくる自信があり、意図しない方向にストーリーが進むのが嫌だったのでCASUALでプレイしました。
下手くそは大人しくCASUALで!
捜査システムが面白かった
事件を捜査するコナーには物証から事件の流れをシミュレーションする機能があります。
マーカスにも同じシミュレーション機能がありますが簡易的な感じなので、刑事アンドロイド用の機能なのでしょう。
どんなものかって言うと現場に落ちている証拠品を解析するとタイムラインモードみたいな画面になります。
これを再生したり巻き戻したりして怪しいポイントを詳しく解析すると新たな事実や証拠が判明するというもの。
タイムライン内の怪しいポイントは色分けされているのでプレイヤーが悩んだり考える事はありません。
前にプレイしたウィッチャーも特殊能力を使って事件を調べる要素がありました。
本作も特殊能力で事件を調べるのは同じだけどウィッチャーより事件の流れが解りやすかったです。
物証を見つけて時間をさかのぼれるこのシステムが単純に楽しかったです。
このシステムをもっと深くしてDLCをやって欲しかった。
DLCでコナーの追加シナリオが来るという噂がありましたが今のところ出ていません。
そもそもクアンティックドリームはこれまでのゲームでもDLCを出していません。
色んな事件を捜査するとか凄く良いDLCネタなのになぁ。
クアンティックドリームはこれまで同タイトルの続編を作っていないので2も無い気がします。
毎回1作の作りきりで終わらすという割り切りは凄いですが、せっかく緻密に作り上げた世界観がもったいない気がしますね。
バグは少な目だけど無くはない
ウィッチャーほどではありませんが、何度かバグに遭遇しました。
上にも書きましたが、同じシーンでPS4のシステムエラーになるポイントがありました。
2回目も同じポイントでエラーになって止まったのでソフト側のバグっぽいなーと思い、ネットに情報が無いか調べると私と全く同じ場所でフリーズしたというコメントを発見。
やっぱりって感じです。
また、あるシーンで突然主人公の恋人の顔が崩れました。
顔がポリゴンっぽくカクカクなって、目が飛び出し、口の中が真っ黒という怖さ・・・
ニット帽から頭頂部がはみ出していたので、きっと位置か形状が変になったのだと思います。
ロマンチックなシーンでこの顔はきつかった(笑)
そのままプレイを続けたところ別シーンに行く時、暗転したままフリーズしてリセットするしかなくなりました。
他に何てことないキャラ移動中にフリーズが1回ありました。
プレイ時間が短いのでバグ回数が少なめと言って良いのか判りませんが、バグが非常に多いとは感じませんでした。
ただ、致命的な停止エラーがあるのはいただけません。
チャプターの最初からやり直しになるのがしんどい。
細かい事を言わなければ楽しめます
昨今のゲームとしては非常に短いです。
プレイ時間と値段を考えると定価ではお高く感じますが、今はパッケージもダウンロード版もお安くなっています。
本作は、CEROレーティングDで17歳以上対象のソフトです。
2038年ではないと思いますが、いつかこんなことが起こるかもね?というお話です。
「その設定おかしくね?」「え?なんでそれで目覚めるの?」などなど細かい突っ込みどころはありますが、そういうのを気にしてはいけません。
海外ドラマを見る感覚でプレイできるので、ドラマ好きにオススメな1本です。
ゲームを終えて思い出したのがフィリップ・K・ディックの小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で、それを原作にした「ブレードランナー」です。
スタートレックにもアンドロイドのデータ少佐は生命か機械か?というお話があります。
攻殻機動隊にもAIに自我が生まれるという話がありますね。
今作ではアンドロイドがどう描かれているか?
是非プレイして確かめてください。
最後に「RA9」について一言。
ゲームを進めると「RA9」という謎めいた単語が何度も出てきます。
ゲーム内でも一応答えが得られる可能性はあるけど、ほとんどの方は「結局、RA9って何だったの?」という状態で終わると思います。
YouTubeを検索すると「RA9の正体」的な動画が幾つかアップされています。
それらの動画を観るならゲームを終えてからにしましょう。
答えを知ったからといってゲームがつまらなくなる訳でもプレイが変わる訳でもありませんが、ゲーム内の出来事やキャラクターを把握してから観たほうが腑に落ちます。
今回はこの辺で、良いゲームライフを!
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