前回に引き続き、スライドシャワーフックの取り付けです。
取り付けようとした段階で、ちょっとした問題が出ました。
今回はその問題をどう解決したかを、取り付け手順と共に書いていきます。
問題は、スライドバーを取り付けるためのネジです。
壁についていた固定シャワーフックに使われていたネジと、商品に付属されていたネジのサイズが違いました。
商品に付いているネジは太くて長かったのです。
商品付属のネジを使うのが確実ですが、ウチは賃貸です。
太いネジを刺してしまうとネジ穴が大きくなってしまい、原状回復できません。
賃貸が面倒なのは、こうした自由が無いところ。
ネジ穴に入れると固まりネジが打てるようになるパテもありますが、ネジ穴周りの素材が木・石膏ボード・金属に限られます。
ユニットバスの多くは、FRPというガラス繊維強化プラスチックが使われています。
ヨットやウォータースライダーなどに使われている素材と同じものです。
プラスチック系の穴埋めに使える商品もありますが、なるべくお金をかけたくありません。
安く済ませる方法として、業者さんが急場しのぎにやる方法があります。
大き過ぎるネジ穴に薄いプラスチック片や木片を咬ませると細いネジでも緩まずに済みます。
しかし、退去後にゴチャゴチャ言われると面倒なので出来れば開いているネジ穴を生かしたいところです。
そこで、刺さっていたネジと同じ太さで長いモノをホームセンターに買いに行きました。
買ったのは、4×50ステンレスなべタッピングねじです。
ホームセンターで、4本入り155円でした。
このネジは、M4×50(えむよんのごじゅう)などと読みます。
ネジはインチ単位とメートル単位があります。
M4というのは、メートル法を基準にしたネジなので4mmになります。
ミリ単位表記される事が多いので、一般的にミリネジと呼ばれます。
ISO規格に基づいているのでISOネジとも呼ばれたりします。
×50というのは、ネジ部分長さが50mmという意味です。
なべネジの長さは、頭を含まないネジ部分の長さがネジの長さとなります。
因みに頭が埋まる平ネジは、頭を含めた長さがネジの長さになりますよ。
浴室で使うネジなので、錆びないステンレス製を購入しました。
水周りで使うネジは、必ずステンレスねじを使ってください!
頭にあるプラスの窪みが錆びると、ネジが回せず抜けなくなります。
固定シャワーフックに使われていたネジの長さは40mmです。
購入したのは、50mmなので10mm長くなります。
一方、商品についていたネジは60mmです。
50mmのネジでは10mm短くなりますが、壁のネジ穴を広げず奥深くまで刺す事が出来ます。
ワッシャーは商品に付いてきたものを使用します。
ネジを買いに行く時は、使われていたネジを外して持って行きましょう。
ネジには色々な種類があり、ネジ山の切り方(ネジ山の細かさ)が違うネジも存在します。
元々付いていたネジが木ネジやコーススレットの場合もありますし、ウチと同じタッピングねじの場合もあります。
ネジ山が同じ切れ方なら、トラスネジと呼ばれる頭が大きいネジでも構いません。
同じ種類のネジ(ネジ溝と太さが同じ)を選べば、壁のネジ溝を破壊せずに済み、しっかり固定出来ます。
どのネジを買えば良いか解らない方は、店員さんに「このネジの長いやつありませんか?」と聞いてください。
ネジ山が違うものを勧めるアバウトな店員さんも居ます。
ネジに詳しく無い方でも、持って行ったネジと見比べれば違いが解ります。
取り付けに必要なコーキング材
シャワーフックの取り付けには、ネジの他にもう1つ必要なものがあります。
それがコーキング剤です。
浴室やキッチンの角にある溝に、ゴムっぽいシール材が貼られていると思います。
あれは、シリコンゴムで水の浸入を防ぐために付けられています。
この防水処理を「コーキング」、シリコンゴムなどの目地材を「コーキング剤」と呼びます。
コーキング剤は、半固形でチューブに入れられて売っています。
練り歯磨きのような感じですが、歯磨きよりも硬めで粘りがあります。
チューブからコーキングしたい隙間に押し出して、ヘラなどで整形します。
空気(湿気)に触れると化学反応が起こり、約24時間ほどで完全硬化します。
硬化と言ってもゴムのような軟らかさになるだけです。
シャワーフックを取り付ける際にコーキング材を塗らないと、ネジ穴から壁の中に水が浸入して壁が腐ります。
また、元々付いていた固定シャワーフックには2つのネジ穴があります。
シャワースライドバーのネジは1本なので、壁のネジ穴を1つ埋める必要があります。
プロは大きいコーキング剤をコーキングガンというコーキング剤を押し出す機械にセットして使います。
コ―キング剤もコ―キングガンもホームセンターでの実売は300〜400円程度なので安いですが、大量にコ―キングしないのであれば必要ありません。
長い溝を埋める場合はコ―キングガンの方が楽ですが、コ―キングガンは大きいですし、滅多に使うものではないので邪魔です。
そこで使うのが一般向けのコーキング剤「バスコークN」です。
バスコークNには色が幾つかあり、私は白色を購入しました。
白が青いパッケージ、透明が水色パッケージ、アイボリーが赤パッケージ、アルミ色が緑パッケージ、灰色がグレーパッケージ、黒が黒パッケージです。
パッケージの右上に硬化後の色が書いてあります。
浴室の壁の色に合わせて購入してください。
バスコークは、浴室用なので防カビ剤が入っています。
防カビ効果は約2年なので、その後はカビが発生します。
2年目くらいから、奥までカビが入りこまないようにマメに掃除をしましょう。
まぁ、汚くなったらコ―キングしなおせば良いだけですが。
50mlで1.8m使用出来ると書いてあります。
厚く塗らなければ2.5m以上コーキング出来ると思います。
100mlもありますが、シャワーフックの取り付けでは、ほんの少ししか使いませんので50mlで十分です。
バスコークは、ネット通販よりホームセンターの方が安いです。
近所のホームセンターで378円でした。
ネット通販だと600円くらいします。
バスコークは、セメダイン社の製品です。
同じ用途でコニシ社から「バスボンド」という商品も出ています。
バスコークは、チューブを押し出すネジ・ノズル・整形用のスプーン・マスキングテープが付いてきますが、バスボンドは整形用ヘラとマスキングテープしか付いてきません。
バスボンドには、ノズルが付いてきませんのでチューブから直接溝に押し出す形になります。
価格はほぼ同じですが、ノズルがあるバスコークの方が使い勝手が良いです。
コーキングした端を綺麗にしたい方は、指に水を多めに付けて擦ってやると薄く延ばせます。
マスキングテープをしてバスコークを塗り、ヘラで整形してマスキングテープを剥がしたら、塗れた指先で優しく擦ります。
慣れていないと汚くなる可能性が高いので、やった事がない方はどこかに少し出して練習してください。
ちょっとデコボコしても焦らず待ちましょう。
1〜2時間で表面が乾いて皮が張り、触っても指にコ―キング剤が付かなくなります。
そのタイミングで指に水を付け、そっと撫でてやると表面のデコボコを綺麗にできます。
これもどれくらい乾いている状態で、どれくらいの力を入れるか慣れが必要なので、自信がなければ触らない方が良いです。
スライドシャワーフックを取り付けるだけなら、ネジ穴への充填と、使わないネジ穴を埋めだけなのでそこまで面倒ではありません。
不器用でなければ失敗する事は無いでしょう。
コーキング剤の注意点
コーキング剤は、手について乾くとなかなか取れません。
手に付いたら、すぐに乾いた布などで拭き取ってください。
取れない場合は、小麦粉を付けて擦ると取れやすいです。
余計なところにコーキング剤が付かないようにしましょう。
特にマスキングテープを剥がす際に、テープに付いたコ―キング剤が思わぬところに付着する可能性が高いです。
マスキングテープをはがす際は、割り箸や要らない布(ウエス)などに巻きつけながら剥がすようにすれば、余計なところに付かずに済みます。
誤って余計なところに付けてしまったら、乾く前に乾いた布で拭き取ってください。
必要無い部分に付いたコ―キング剤が乾いてしまった場合は、カッターなどでこそぎ落としてください。
ツルツルしている面であれば、激落ちくんでも落とせます。
あまり知られていませんが、バスコークの使用期限は製造から約3年です。
未開封でも、硬化成分が次第に弱くなっていきます。
店頭で売っている商品でも、製造から年月が経っているものは固まる力が弱くなっています。
酷い場合は、いつまでも固まらない事も・・・。
そうなったらベタベタなコ―キング剤を全て取り除かねばなりません。
古い商品は店頭から下げるはずですが、一応購入前に製造年月日を確認してください。
なるべく新しい方が良いですが、製造から3年以内なら問題ないでしょう。
バスコークは湿気硬化型のコーキング剤なので、空気中の湿気に反応して固まります。
早く硬化させようとドライヤーを当てても、あまり意味がありません。
ドライヤーで湿気を飛ばしてしまうと余計に時間が掛かる事もあります。
湿気が十分にある密閉空間でドライヤーを当てれば、少しは早く硬化すると思います。
表面が硬化して厚い皮が張れば、水やお湯をかけても大丈夫です。
ただし、中の方は固まっていないので指で押すと潰れて汚くなります。
表面に皮が張る目安は、夏なら6時間以上、春秋なら10時間以上、冬なら12時間以上です。
綺麗に塗れたら余計な事はせずに、24時間放置するのをオススメします。
道具が揃ったのでスライドシャワーフックを取り付けます
取付は上からでも下からでも良いですが、私がやった順で説明します。
最初に低い位置にあるネジ穴にバスコークを注入します。
穴の周りにもバスコークがはみ出しますが、そのままで良いです。
バスコークは、穴が埋まる程度の量で良いです。
垂れるほど付ける必要はありません。
スライドバーの下部パーツにワッシャーをかませたネジを入れておき、ドライバーでネジを半分ほど壁にねじ込みます。
この時、スライドバーを起こしておく必要はありません。
上部はこの後付けるので、バーを横に寝かせておいて良いです。
なるべくスライドバーにバスコークが付かないようにして下さい。
余計なところにバスコークが付くと、拭き取らねばならず面倒です。
次に、高い位置のネジ穴にバスコークを注入します。
バスコークを入れたらスライドバーを回転するように起こして、下部と同じくネジを壁に半分ほどねじ込みます。
あとは、上と下を同じペースでねじ込んで行けば良いだけです。
穴からネジに押されたバスコークがはみ出しますが、そのままねじ込んでください。
このはみ出たバスコークも、固まって水の侵入を防いでくれます。
LIXILのスライドシャワーバーの上下にあるパーツは奥の方にネジ穴があるので、短いドライバーだと届きません。
ネジ留めには、先が長いドライバーが必要です。
安いので、先が長いドライバーを1つくらい持っていても良いと思います。
先端にマグネット塗料が付いていると、ネジを落とさないので便利ですよ。
このネジ留め作業では、ドリルドライバーなどの電動工具は使わない方が良いと思います。
浴室の壁に空いているネジ穴を利用するなら、ネジ穴の山を潰さないように手回しドライバーを使いましょう。
ドリルドライバーでガガガっとやると、ネジ山が削れてバカになる可能性が高いです。
しっかりネジを締めたら、グラつきが無いか確認します。
問題が無ければ、目隠しキャップを取り付けます。
キャップは、押し込めばはまります。
取付した上側がこちら
パーツの下に穴埋めした白いバスコークが付いているのが解るでしょうか?
バスコークと壁色が同じ白色なので解りづらいと思いますが、良く見ると確認できます。
スライドバー取り付け後でも使わないネジ穴が見える位置に出るので、取り付け作業が終わった後でバスコークを流し込みました。
穴埋めはバスコークのノズルから直接流し込むのではなく、爪楊枝の先にバスコークをちょっとだけ付けて穴に入れた方が失敗しないと思います。
バスコークを直接穴に注入するとはみ出しが多くなります。
固定シャワーフックに戻す時は、埋めたバスコークを引き抜いても構いませんし、ネジにバスコークを塗ってそのままねじ込んでも良いです。
ネジ穴が防水がされていれば良いので、前のコ―キング剤が残っていても大丈夫です。
LIXILのスライドシャワーフックは安くて便利
スライドシャワーフックを使ってみたところ、予想通り便利です。
頭を洗う時に屈まなくてよいので腰が楽!
シャワーヘッドをフックに刺したまま手前や奥方向に回すと、カチカチと回転してシャワーの角度調整が出来ます。
シャワーフック横にあるハンドルをひねれば、シャワーフック自体の移動や回転ができます。
購入前は「高さを変えるのにハンドル回すの面倒だな〜」と思ってましたが、固定ハンドルはちょっと緩めれば固定解除されるので簡単に高さ調整が出来ます。
固定ハンドルを持ちクイッと回してそのまま上下してやれば、片手でも上下可能です。
シャワーフックのハンドルを緩めると好きな角度に向きを変えられます。
左向きから右向きにする時に「ハンドルが壁と干渉するかも?」と思っていましたが、干渉せずに向きを変えられました。
私はフックを横向きで使用していますがシャワーホースが引っ掛かる事はありません。
シャワーホースが引っ掛かるという方はフックを正面に向けてやれば、固定式のシャワーフックと同じ感覚で使えます。
上手いこと作られてますな。
フックを固定しても思いっきりポールを締めつけるわけではないので、力を入れると上下左右にズレます。
使っていてズレる事はありませんが、もう少ししっかり固定出来た方が安心です。
構造的に難しいのかな?
LIXILのスライドバー付きシャワーフックは、他社製品に比べると安く販売されています。
他社製は1万前後しますが、LIXIL製は半額以下で買えます。
LIXILは大手メーカーなので、いきなり部品が無くなる心配もありません。
スライドバーはなかなか壊れませんが、可動するフックは壊れます。
おそらく4〜5年は大丈夫だと思いますけが、使用頻度・使い方・環境によっては早めに壊れる場合もあると思います。
プラスチック製なので耐久性はそれ程ありません。
現在販売されていない前の型(フックが横向きでは無く正面に向いているもの)は、フックが構造的に弱く割れやすかったようです。
現在のフックはその点が改善されています。
私が購入したBF-FB27は、2年のメーカー保証が付いています。
保証書には"取り付け日から2カ年"と記載されていますが、実際は購入後2年だと思います。
それでもLIXILは、保証が長いですね。
フックが壊れた場合は、フックだけでも売っています。
フックの商品名は「A-6660/NC」という名前です。
フックのみは、ネット通販で買えます。
なぜかスライドバー付きと同じくらいの価格なので、フックだけ買うのはバカバカしいです。
壊れたらスライドバーごと買い替えた方が良いでしょう。
何店舗かホームセンターをまわりましたが、スライド式のシャワーポール自体置いていなかったので、リアル店舗で探すのは難しいと思います。
LIXIL純正フックを検索すると「A-3682/NC」が多く出てきます。
24mmバーに対応しているので使えますが、シャワーフック部分に傷避けのプラスチックパーツが付いていません。
BF-FB27付属フックは「A-6660/NC」になります。
フックが壊れたら、他社製の汎用フックで代用するのも手です。
バーにパコッとはめられる機構の商品は、バーを壁から外さなくても取り付けが出来ます。
非常に安いので買いやすいですが、フックが浅かったり、重いシャワーヘッドには耐えられなかったりと、いくつか問題があるようです。
価格なりの商品と思って買うなら良いと思います。
シャワーヘッドとの相性
元々浴室に付いていたシャワーヘッドは、ビジネスホテルに付いているような、しょぼくて小さいシャワーヘッドでした。
数年前、分岐栓からの水漏れがあり交換になった際に少し良いシャワーヘッドになりました。
交換後に付いたのがコレで、約35%の節水が出来るシャワーヘッドです。
水粒の中に空気を含ませる機構になっており、独特な当りの軟らかさがあります。
重さは259gで、問題なくスライドシャワーフックに取り付け出来ます。
エアインシャワーも悪くはないですが、現在はTOTOのワンダービートを使用しています。
ワンダービートは、ヘッドがやや重く381gあります。
それでもフックがズレたり、シャワーヘッドが外れる事はありません。
かなり前に発売された商品でシャワーヘッドとしては高価ですが、値段なりの気持ち良さがあります。
通常は節水シャワー(節水能力は大して無いです)として使えますが、ヘッドを回すとワンダービート吐水という勢いのあるシャワーに変わります。
かなり強い水流がヘッドの中心から出ます。
肩・腰・足などに当てると打たせ湯のようなマッサージ効果があります。
頭皮に良いかどうかは解りません(笑)
というか頭にワンダービート水流を当てると痛いです。
腹に当てると子供に連続ボディブローを当てられている感じです。
当ててはいけない部分に当たってしまうと涙が出ますので、ヘッドの方向には注意!
ワンダービート吐水は水の勢いが強いので、ブシュシュシュッという大きめな音がします。
お湯が跳ね返って浴室中に飛び散りるのも覚悟してください。
シャワーヘッドを交換しないまま数年経つと、カルシウムなどが固着してシャワーヘッドが外せなくなります。
どうやってもシャワーヘッドが外せない場合は、ネック部分をお酢に浸けておきましょう。
固まったカルシウムが溶けて外れやすくなります。
お試しあれ!
スライドシャワーフックとヘッドの相性で気になったのが、フック内側にあるゴムの滑り止め性能です。
ホースを回して角度調整すれば良いのですが、ホースがねじれているとヘッドが少しだけ回ってしまいます。
少しは滑り止めが効いているようですが、フックとシャワーヘッドのフィット感はイマイチ。
TOTOの固定シャワーフックに付いている滑り止めゴムは、シャワーヘッドをガッチリ固定してくれていました。
厳密に言うとシャワーフックに引っ掛かるのはシャワーヘッドではなく、シャワーヘッドを取り付けるネック部分(ホース先)に付いている円錐形のパーツです。
TOTOとLIXILでは、このネック形状が違うのかもしれません。
不意にシャワーヘッドが落下すると危ないので、購入前からTOTOのシャワーヘッド(ネック)との相性が心配でした。
シャワーの首が少し回ってしまう事はあるものの、今のところ落下した事はありません。
落下しそうになった事も無いので、その点は安心です。
座ってシャワーを使う方は、スライド式のシャワーフックにすると楽になります!
洗髪する際、ずっと屈んで後頭部からシャワーを当てていましたが、今は背中を伸ばした状態で正面から当てられるようになりました。
設置に少し手間は掛かりますが、是非スライド式に交換してみてくださいな。
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