今回は、ゲームソフト「METAL GEAR SOLID V」のレビューです。
ゲーム攻略は、親切な方が詳しく解説していたりwikiなどもあるので、本記事はゲームクリア後の個人的な感想です。
ソフト記事はマニアックになりがちなので書くのを迷いましたが、メタルギア5は「買って損なし!」と思える良作だったので書きます。
購入前の参考になればと思います。
なるべくネタバレ無いよう書いてますのでご安心を。

2016年11月10日に発売されたメタルギア5ですが、グラウンドゼロズとザ・ファントムペインの2本が入ったお得なソフトです。
本ソフトに新規追加特典などは無く、発売されたままの2本が入っているだけのものです。
グラウンドゼロズはファントムペインの前日譚としての出来事で、ファントムペインとほぼ同じシステムなので導入編としてプレイできます。
元々別ソフトで売られていた事もあり、グラウンドゼロを幾らやり込んでも、ファントムペインに引き継げる要素はありません。
ゲームを開始すると、どちらのソフトを始めるか選べます。
序章のグラウンドゼロズをやってから、本編のファントムペインをやる順番が正しいです。
GROUND ZEROES
グラウンドゼロズは、正直「コレ単体で良く売ったなぁ〜」という内容の少なさです。
2014年12月発売で、PS4のパッケージ版で2,839円でした。
内容も低価格なりで、無理矢理パッケージ化した感がありますね。
2014年の発売当時には「短すぎる!」という不満レビューが多く見られました。
マップも非常に少なく無理やりミッションを入れ込んだ感じです。
開発費が掛かり過ぎて、どうしても売り上げを上げないと不味くなったのでしょう。
ソニーのレースゲームでグランツーリスモというのがありますが、開発が長引いた末にプロローグ版という中途半端な状態の商品が出た事がありますが、同じような印象です。
今回の2本セットであれば、おまけ要素としては良いと思います。
あくまでも本編のおまけ程度と思っていれば意外と遊べます。
やり込もうと思えばそれなりに遊べますが、やり込み派ではない人にとってはあっさり過ぎる内容です。
少し豪華な体験版みたいな印象です。
シナリオを補完する声優さんの音声ドラマを延々聞く事になると思います。
うーん、なんとも物足りない感じ。
私は、クリアしてからもある程度遊んで本編に進みました。
THE PHANTOM PAIN
本編のファントムペインは、2015年9月にPS4版が8,400円で発売されたものです。
グラウンドゼロズとは違い、それなりにボリュームがあります。
映像がとっても綺麗で、背景を見ているとゲームとは思えないクオリティです。
必見は、序盤ミッションのスネークの背中の筋肉の動き!
這いつくばって、ほふく前進している時の背中のリアルさったら、無駄に前後して見てしまうほどスンゲーです。
デザイナーのこだわりを感じます。
シナリオも序盤は、とってもわくわくしました。
序盤はね・・・。
中盤は中だるみでした。
同じようなミッションが続きます。
新マップの場合は、攻略が楽しめるのでまだ良いのですが、同じマップを使った別ミッションがあり「またココやるの?」と思ってしまいます。
後半は、シナリオ的に盛り上がって行きます。
最高に盛り上がる前にエンディングを迎えます。
「え!?ここで終わり?」と思っちゃいました。
決してシナリオが悪いわけでは無く、中途半端な状態で無理やりソフトとして完結させた感じがあるんです。
シナリオが章構成になっていますが、章の数も中途半端です。
ゲームが終わった瞬間に、「あれはどうなった?」「彼はその後どうしたんだよ」という疑問が多く残ったままエンディングを迎えます。
伏線がいっぱいあったのに回収されないままで、ちょっと肩すかしでした。
こちらもシナリオを補完する声優さんの音声ドラマが多く、全部聞くとかなりのボリュームになります。
この音声ドラマですが、面白いのが3分の1くらい、後は小難しい裏設定の話を延々聞かされている感じで飽きます。
音声ドラマを聞いている間は、なんもする事が無いので、ハッキリ言って退屈です。
どう考えても完成してないでしょ
ファントムペイン本編のミッションは完成度が高く、映像やムービーも小島監督らしいドラマチックな演出があります。
映画や海外ドラマを観ているような感覚でゲームが進みますので、小島作品が嫌いでなければ十分楽しめるはずです。
しかし、ゲームパッケージとしての完成度は50〜70%といった印象です。
これまでのナンバリングタイトルの完成度を考えると、何とも中途半端な感じなんです。
きっと、計画ではもっと章があったのでしょう。
本編ミッションがもっと多かったのだと思います。
想定されていたシナリオ数がどれくらいかは判りませんが、途中で無理やり終わらせて商品にしたのが良く解る出来です。
本編だけを進めると内容が少ないです。
本編には、ミッションタスクというやり込み要素があります。
これを満たすためにやり込めば少しは長持ちしますが、1度ミッションをクリアするまでタスク内容が解らないので、何度も同じミッションをやる事になります。
やり込み好きでない方には、面倒なだけの作業と化します。
本編とは別にサイドオプス(SIDE OPS)という、お使い型ミッションがあり、それがあるお陰でボリュームが出ています。
サイドオプスが出てきたら本編の進行を止めて、サイドオプスをクリアして行く事をオススメします。
中には面白いサイドオプスもありますが、ほとんどは本編のマップを使いまわした内容です。
同じマップの再攻略になるので、サイドオプスをやらずに溜めてしまうと面倒になってやる気が起きません。
面白いんですよ!楽しいんですよ!
でも、無理やりミッションを増やした感があります。
作業感が強く、どうしても面倒と感じてしまう部分です。
非常にもったいないというか、惜しい感じです。
最悪なのは、本編なのに[EXTREME]とか [完全ステルス]というタイトルで、前にやったのと全く同じミッションが出てくる事です。
後半に多く出てくるのですが、なぜか本編ミッション扱いです。
1〜2個ならまだ良いのですが、そこそこ数があって、やり込みを強要されます。
本編ミッションには、ミッションタスクがあり何度もやり直しをしてタスク完了を目指す形なのに、まだやり直しを強要するの?と思ってしまいました。
ミッション数を増やすための苦肉の策なのだと思いますが、何で本編に入れたの?と思わずに居られません。
ミッション数が少ないのは淋しいですが、安直に増やされたもので面白さは感じません。
ダメなボリューム稼ぎの典型です。
やらずに本編を進める事は可能なので、何のために本編に入れたのか疑問です。
武器開発や開発資源を使える状態にするのにゲームプレイしているリアルな時間が必要です。
基地開発を進めて行くと手下が増えて、架空のミッションに手下を派遣できるようになりますが、それに時間が掛かるのは自然です。
しかし、武器開発にリアル時間が設定されているのは意味不明です。
開発素材を揃え、お金を貯めても直ぐに手に入らないんですよ。
30分とか1時間とか待たされます。
手下をオフラインミッション、オンラインミッションに派遣出来ますが、戻ってくる時間をリアルなお金を払えば短縮できるようになっています。
お金を払って時間を買う感じです。
パッケージソフトなのに、スマホゲームのように課金しろという事です。
時間を掛ければ課金しなくてもミッション達成できるため、恐らくほとんどの人は課金してないんじゃないかなぁ?
驚くのはオンラインミッションのあり得ない待ち時間の長さです。
1ミッションで6日待たなければならないとか、異常な長さの時間設定がされています。
そこまでして課金させようとしていますが、やらずにゲームを終わる人がほとんどでしょう。
その絡みで武器やアイテム開発にもリアル時間の概念を入れたのでしょう。
武器やアイテム開発をしてから、時間差でモノが完成するので、気がつかずに弱い武器を使っていたなんて事も良くありました。
武器や装備の開発や手下の派遣など、これまでのシリーズで1番解りづらくなってます。
手下の派遣は、やらなくても本編は進めるので問題ありませんが、折角の派遣システムが十分に遊べない仕様です。
武器開発のリアル時間を稼ぐためにPSの電源入れっぱなしにしておかねばなりません。
資源開発は、チェックポイントを通過すると加工前資源から使える加工済み状態になります。
そのため周回移動している敵のトラックの荷台にこっそり乗って放置します。
無駄にPSを起動したままにして、電気を無駄使いするしか方法がありません。
リアル時間の概念を入れたせいで、ゲームしていなくても電源を入れておかねばならない結果になっています。
一緒に参戦してくれるパートナーキャラ
今回のメタルギアには、ミッションに連れて行けるパートナーが選択できます。
クワイエットという水着姿の女性キャラが出てきますが、ただのサブキャラでは無く今回のシナリオに大きく関わってきます。
謎が多く魅力的なキャラなので、大人の男性には良い目の保養になります。
過激な衣装やポーズ、大人向けなムービーがあるので、子供にプレイしている姿は見せられません(笑)
パートナーは、シナリオを進めて行くと何種類か出てきます。
使いどころを間違わなければ楽にミッションを進める事が可能になります。
私は、後半まで全くD-Walkerというロボットを使っていませんでしたが、ボス戦に連れて行くと非常に使えるので、資源とお金に余裕が出てきたら装備の開発を進めておきましょう。
メタルギアオンライン
メタルギアオンラインでは、他人との対戦が可能です。
チーム戦での殺し合いやフラッグの取り合いといった良くあるオンライン対戦です。
PS Plusに入っていなくても参戦できます。
何度かやりましたが、他ゲームにも良くある感じで普通です。
私はオンライン対戦ゲームはあまりやりませんが、友人とボイスチャットをやりながらであれば楽しめそうです。
孤独にオンライン対戦してもムカつくだけでしょう。
オンライン要素としてのFOB
ゲームを進めて行くとFOBと呼ばれる前線基地を建設できるようになります。
多くのFOBを作ろうとすると、ここでも課金しろと言われます。
無課金でも1つはFOBを作れますので、遊ぶ事が出来ます。
このFOB関係がホント複雑で、良く解らない説明で始まるので「は?」となります。
いきなりFOBという言葉が出てきて、何か良く解らない説明が始まります。
FOBを作るというのは、簡単に言うとオンライン上にもう1つ基地を作るという事です。
オンライン上に作れる自分の基地で、公開されますので他人から侵入されます。
自分も他人のFOBに侵入できます。
侵入されると資源や人材が奪われますので、どう防衛するかを設定していきます。
防衛は、簡易警備設定で一番高くしておきましょう。
ゲーム内のお金(GMP)が掛かるような表示になっていますが、侵入された時にしかお金が減りません。
武器開発で青文字の「警備班装備可能」なものを開発しておき、詳細設定で「遠距離」「殺傷」に設定するのがオススメです。
自由にカメラや地雷などを設置出来ますが、面倒なので厳重警備個所を設定するだけで良いと思います。
集めた人員や資源を誰かに奪われるので、FOBはやりたくないと思う方も多いと思います。
私も最初は、いつ侵入されるか気が気じゃありませんでした。
FOB開発をすると手下の人数が増やせて派遣できるチームが増えたり、資源開発の時間短縮に繋がります。
やった方が絶対お得です。
平均的に基地を拡大するのではなく、司令部なら司令部だけ開発を進めるようにしましょう。
最低2個のプラットフォームを作りましょう。
侵入されてもゴールされにくくなり、奪われにくくなります。
研究開発と拠点開発プラットフォームには、資源が多く置いてあるので、開発を始めたら早目にプラットフォームを増やしましょう。
他人のFOBに侵入すると相手の報復リストに載ってしまいますので、資源や人を奪われたくない人は他人のFOBには侵入しないようにして下さい。
侵入しなければ、侵入されて奪われる事は滅多にありませんのでご安心を。
結局私は、1回も侵入されずに終わってしまいました。
PS Plusに入っていると、侵入された時に基地に出張って対応プレイが出来るようになります。
勝手に手下が防衛してくれるので、自分が出張る必要性は余りありませんが・・・
この辺のオンライン基地要素(FOB)が、非常に解りづらいです。
説明がありますが、なに言ってるか理解するのに時間が掛かります。
私は理解できずネットでどういうものか調べてやっと解りました。
シナリオを進めて行くと自動的にFOB作成を強要されるチュートリアルが始まります。
そこでFOBを作らなくても進められるらしいのですが、そんな説明は一切ないので普通は作ると思います。
1度作ったFOBは、消せませんので絶対侵入されたくない方はFOBを作らないか、オフラインでゲームを進めた方が良いかもしれません。
MBコインなどの聞き慣れないワードがいきなり出てきて混乱します。
良く解らなくても、基地作ってプラットフォーム増やして、警備設定しとけば良いだけです。
このFOB要素は、どこが面白いのか解りません。
全く面白くない課金のための要素です。
ダメなところもありますが
本作はダメなところも多く、ゲームを楽しむより作業感がないとは言えません。
なんでこうしたの?と感じる部分や、説明が無さ過ぎてオンライン関係など意味が解らない部分も多いです。
シナリオだけでなく、ゲーム自体も未完成感があります。
これだけダメな部分を挙げておいて何ですが、ナンバリングタイトルとして最新のメタルギアらしい面白さはあります。
メタルギアならではのスニ―キング(潜入)アクションはやはり楽しいです。
これまでのシリーズで出てきたキャラが多く出てくるので、シリーズをやってこなかった方は登場人物の関係性に戸惑うと思いますが、これまでの話しが解らなくても遊べるようになっています。
2本入りのお得なソフトなので、個々のソフトを未プレイの方にはオススメします。
買って損は無いと思いますよ。
多少のバグはありますが、現状のPS4作品の中では映像に拘っている綺麗なゲームです。
解りづらい部分やダメな部分を補う面白さがあります。
ファントムペインが未完成のまま発売された理由が最近解ってきました。
開発終盤、小島監督は開発にタッチ出来なかったようです。
開発と接触させない部屋に隔離されていたとか。
小島監督が関わると終わらないと経営陣が判断して、開発に関わらせないようにした。
開発陣が無理やりまとめて商品にした。
小島監督にとってメタルギアは、長年かけて育ててきた子供のようなものです。
最後まで足掻いたはずですが、企業としての決定には逆らえず限界だったのでしょう。
この事が原因で長年勤めていたコナミを退社する事になったのが想像できます。
開発陣も納得できない商品を出さねばならず、やりきれない気持ちだったでしょうね。
これらの話がどこまで真実かは判りませんが、色々な情報からネット上で噂になっています。
これまでのメタルギアシリーズには無い尻切れの悪さから、小島監督のソフトをプレイしてきた人は、らしくないまとめ方に違和感を感じると思います。
本ソフトには収録されていませんが、本編の続きにあたるミッションエピソードの映像がYouTubeに上がっています。
限定版の「Special Edition」に収録された特典映像ですが、本ソフトには入っていません。
「蝿の王国」というエピソード名で、絵コンテと映像が交じったシナリオが解る映像です。
なぜ、エンディング後のエピソードが存在しているのか?
この映像からも、もっと多くのミッションが計画されていたのが解ります。
蝿の王は、ウィリアムジェラルドゴールディングの小説で有名ですが、それと重なるようなシナリオの続きがあったようです。
この映像をゲームクリア後に見ましたが、本編でやりたかったなぁ〜。
ちなみに私はPS4のパッケージ版を発売日に定価の3,980円買って、最近ゲオに中古として売りました。
1,600円での買い取りになったので、まぁ良い方かな。
小島メタルギアのおしまい
残念ながら「メタルギアV」が小島メタルギアとしての最終作品となってしまいました。
メタルギアシリーズとしては、「METAL GEAR SURVIVE」というゾンビゲーが新作として発表されましたが、小島監督は関わっていません。
メタルギアシリーズである必要性が良く解らないタイトルですね。
メタルギアでは無い新規IPとして発表すれば良かったのに。
小島組ではないメタルギアにどれだけユーザーが付くのかなぁ?
メタルギアの権利は、コナミが持っているので小島メタルギアはもう無いでしょう。
コナミとの関係が切れた経緯を考えると再度タッグを組む事は考えづらく、淋しい限りです。
小島監督は、コナミ退社後に会社を立ち上げて既に次のソフトを発表しています。
新規タイトル「デスストランディング」の映像を見るとビックタイトル感がします。
小島作品は、開発が長いのでいつになるか解りませんが楽しみですね〜。
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