今回は、商品レビューではなく、ガスコンロに付いている使い勝手の悪いセンサーをどうにかするネタです。

2年ほど前の話ですが、使っていたガスコンロが故障して火がつかなくなりました。
長い間、酷使してきたので寿命と思い、量販店のガスコンロコーナーへ足を運びました。
商品を見て、「ん?」と思いました。
どの商品も、昔より少しお高い気がします。
コンロってこんなに高かったかな〜?と思って店員さんに聞きました。
「あぁ〜、Siセンサーのせいですね・・・」との返答。
聞くと「Siセンサー」という機構を、ガスコンロに付けなければ売れなくなってから、ガスコンロの平均価格が上がったとの事です。
当時は、全く知りませんでしたが、平成20年4月以降、Siセンサー無しのガスコンロは製造販売が出来なくなっていました。
「Safety」安全、「Support」便利、「Smile」楽しくの3つの「S」、そして「intelligent」知性の組み合わせで「Si」なんだそうな。
なぜ、このシステムが義務化されたかと言うと、ガスコンロ原因の火事が非常に多かったからだそうです。
これに関する消防庁の資料を見ると「調理中に火元から離れたり消し忘れたり」というのが出火原因の多くを占めています。
火を使ってるのに火元から離れるという、危ない使い方をしている人が多いんですね。
そういう危なっかしい人が居るから機器の方で対応しようと、メーカーや業界団体独自で安全システム普及しようと考え、義務化前から業界独自で取り組んでいました。
ただ、安全機能を追加したモデルはコストが掛かり、価格が上がりました。
ガスコンロの安全性にお金を払う人は多く居ません。
庶民に売れるのは今まで通り安価なセンサー無し商品でした。
火災件数が一向に減らない事から、法律で強制化され、安全装置規格も統一されました。
最近の資料には、Siセンサーを強制化してから、年々ガスコンロ要因の火災は少しづつ減ってきているというデータが出ています。
コンロからの出火が減ってきた事で、魚焼きグリル要因の火災が多い事が判ってきました。
グリルで魚などを焼いた時に、はねた油などがグリル内部に汚れとして付着します。
グリルの火を消しても、積み重なった汚れが燃え続けてしまい火災に至るパターンです。
最近のコンログリルには消し忘れ自動消火機能が付いていますが、汚れ燃焼の消化まではしてくれません。
グリルは掃除しづらい形状です。
グリル丸ごと引っ張り出せるようにするとか、掃除しやすい仕組みにして欲しいですね。
安全性は上がったんでしょう!でもさぁ・・・
Siセンサーは、金属製の熱センサーを鍋底に押しつけて温度を計り、加熱しすぎと判断すると自動的に弱火にしたり、火を消します。
安全性に優れていて便利で良いね!と思ったら評判は非常に良くないです。
私も料理をしますが、使っていてホント邪魔です。
強化力にしたいのに!
強火力で調理したい中華料理などの際に、勝手に火が弱まります。
一応センサー解除ボタンが付いていますが、完全解除出来ない仕様のようで、一定温度で火が弱くなってしまいます。
中華鍋など鉄製の鍋だと温度が一気に上がるせいか、センサーが反応しやすい気がします。
軽くて小さいミルクパンを使うとセンサーバネが鍋を押して鍋がひっくり返る!
これは本当に困ったもので、火事になるより火傷する可能性の方が高いです。
鍋底に当たるセンサーのバネが強過ぎるんですよね。
焼き網が使えない!
魚はグリルで焼くので良いのですが、餅なんかは100均などで売っている焼き網が1番効率的で簡単に焼けます。
トースターだと、くっついちゃうんですよね・・・
しかし、センサーのバネが強いせいで、軽い焼き網が浮いちゃって火がつけられません。
餅を焼くのに、困っている方が多いのではないでしょうか?
このようにあの忌々しいセンサーは、使い勝手が良くありません。
火事が減るのは良い事だと思いますが、使い勝手から見ると進化というより退化です。
強力バネでセンサーを押しつける方法しか無いのでしょうか?
センサー制御も、もう少しどうにかならんものでしょうか?
せっかく強化力のコンロを買っても、火力が欲しい時に火力が出せずに使えないんじゃ意味がありません。
「Safety」安全性は、上がっていると思いますので、異論なしです。
「Support」便利とは、到底思えません。
「Smile」楽しくってのは、どの辺なんでしょうね?
1つの「S」しか実現出来てない様な・・・
「intelligent」知性?ハッキリ言って頭悪いです。
同じように考える人は多いようで、こんな商品があります。
五徳の上に載せる用の五徳。
ダブル五徳になって安定性が心配です。
この手の便利グッズが売られているという事は、需要がある証拠でしょうね。
便利そうなので購入も考えましたが、ちとお高いので私は自作します。
Siセンサーをキャンセルする方法
安全性と言う意味でセンサーは必要かもしれませんが、現状のSiセンサーのままでは、使い勝手が犠牲になります。
何とか出来ないものか調べました。
センサーを外してしまう裏技をネットで見つけました。
ほとんどのSiセンサーは、ネジ止めされているだけなので、天板を外せばセンサーだけを外せるそうです。
ただ、設置してあるガスコンロを引っ張り出して、天板外して・・・と、ちょっと面倒です。
大掃除ついでにやってしまえば可能ですが、1度外すとセンサーが使えなくなります。
センサーの配線をカットして、抵抗を取り付ける方法もあります。
電子工作的な解決方法ですが、軽い鍋や焼き網などが浮いてしまうのは解決できません。
電気系統の改造になるので、やや面倒なのと安全性が心配です。
1番簡単で、分解しなくて良い方法がありました!
針金でセンサーを押し込んでやる方法です。
ネット上でもやっている方が多く、ある意味メジャーな裏技です。
センサーが常に押し込まれた状態でキープされるので、軽い焼き網で餅も焼けます。
完全にセンサーを機能を停止する訳ではないので、少しは安全性が担保されます。
ただ、センサーの反応が鈍くなるので、火の管理は今まで以上に注意が必要ですよ。
針金式のSiセンサー解除法
必要な道具は、針金とペンチだけです。
調理器具に使うものなので、針金は錆びないようにステンレス製が良いと思います。
私は、家にあったミツミのIW-034という鉄製(亜鉛メッキ)2mmの針金を使いました。
錆びたらまた作れば良いかなと。
ある程度の強度で、センサーバネに負けない固定が出来れば何ミリの針金でも構いません。
ただ、4mm以上の針金は硬くなるので、曲げたり切ったりする加工が大変になると思います。
針金は、ネットで買うと送料が掛かり高いのでホームセンターや100均で買いましょう。
長さは10cmも程度あれば十分です。
針金の代わりに、紙を挟む金属製クリップを伸ばしても代用可能ですが、強度が無いので針金をオススメします。
ペンチは、ラジオペンチが良いと思います。
針金をセンサー上部の大きさに合わせて丸めるので、先細のペンチが楽です。
まずは、安全のため、ガスの元栓を閉じます。
ガスコンロの五徳、ガス噴出孔のあるバーナーキャップ、汁受け皿などのパーツを外します。

Siセンサーは外せないようになっているので、コンロ穴にSiセンサーだけが残っている状態になると思います。
穴の中の様子を確認してください。
どこかに針金を引っかけられそうな金属棒があるはずです。
そこに針金を引っ掛けるようにして行きますので、場所を確認しておいてください。
Siセンサー上部に細くなっている場所があるので、その径に合わせて針金で輪を作ります。
輪をセンサー上部に当てながら、ベンチで大きさが合うよう輪になるよう曲げてください。

輪が出来たらそこから引っかけられる部分までの長さで「U」の字を作ります。
センサーを押し込んだ状態で、引っかかる場所までの長さで折り返します。
コンロにより引っかけられる場所が違いますので、フックの役目を果たす折り返し位置を調整してください。
余計な長さの針金はカットしてください。
針金パーツを最初にコンロ側に引っかけ、センサーを押し込んで針金の輪に引っかけます。

構造上あまり無いとは思いますが、機種によってはバーナーキャップ下の近い位置に電気コードがあるものもあるようです。
コード皮膜が針金に触れると熱で溶けてしまうので注意してください。
針金の作成時間2〜3分、取付け、取外しは5秒で出来ます。
最後に、外したバーナーキャップなどを元通りに取り付けます。
針金が汁受け皿に干渉するようなら、針金を少し折り曲げたりして調整してください。
紙用クリップを使う場合は、丸いペン軸に巻いてやると綺麗に丸く曲げる事が出来ます。
クリップを使う時は、ビニール被膜が付いていない金属だけのものを使用してください。
上記とは違う方法ですが、針金を下図のような形にして、センサーの上に設置してバーナーキャップで抑えてしまうやり方もあります。

加工が簡単で、これで安定すれば良い方法だと思います。
バネが強いガスコンロだとバーナーキャップが浮いてしまったり、何かの拍子に外れる可能性があります。
私はそれが怖かったので、ガッチリ固定できるよう輪を作って抑えるようにしました。
Siセンサーの形状は、メーカーや機種によって違いがあり、図のような筒型ではなく、T字形状のセンサーもあります。
記事トップ画像のような形状のセンサー形状です。
基本的に、センサーの頭を押さえてやれば良いので、押さえる部分の針金を丸くするのではなく、「N字」や「コの字」にするなどアレンジしてくだされ。
しばらく使ってみた感想
しばらくこの自作した「針金Siセンサーバネ押しパーツ」を使っていますが、突然外れるような事もなく、コンロも普通に使えていて問題は出ていません。
センサーが鍋底に当たっていないので、勝手に火力を絞られる事は減りましたが、100均の餅焼き網だとやっぱりセンサーが働いちゃいました。
完全にセンサーを取り去らないと完璧とは言えない結果。
結局、餅は魚焼きグリルで焼いちゃってます。
正月くらいしか餅を焼かないので、餅焼き網対応は諦めました。
上火と下火が個別調整できるなら、上火は弱く、下火を強めにした方が上手く焼けます。
焦げないよう頻繁に確認しながら焼いてください。
一般的なオーブントースターより、魚焼きグリルの方が早いと思います。
網にへばりつく事もありません。
ガスコンロはリンナイ製の一般的なコンロ2口タイプで、片方が大火力コンロです。
本来の能力を発揮したい中華鍋など、熱々に出来るようになったので良しとします。
火力の必要な、美味いチャーハンや炒め物が作れます!
普段はセンサーを生かし、センサーが邪魔な時だけ針金を引っかけるようにしましょう。
我が家では安全のため、必要な時だけ取り付けています。
数秒の手間なので苦になりませんが・・・
こんな使い勝手悪いセンサーがコンロ価格に上乗せされているのは、どーも納得できんです。
コンロ火災対策として仕方ないのは解るけど、Siセンサー税みたいなものですよね。
天下り先確保のためのセンサー利権というキナ臭い噂もあります。
せめて、もっとコンロ本来の性能が生かせるような使えるセンサーに出来んものかなぁ?
使い勝手の悪いセンサーは邪魔だよね。
自己責任でっせ
力技でセンサーを押さえる方法をご紹介しましたが、注意してほしい点もあります。
火災が起きないよう火をつけている時は、絶対にガスコンロから離れないようにして、常に火力コントロールをして下さい。
特に揚げもの油は大火災に繋がりやすいです。
消し忘れによる空焚きにも、注意が必要です。
Siセンサーは、鍋底温度が250℃になると自動的に消火して、油の発火を防ぎます。
センサー機能を制限するということは、それ以上の温度になるという事です。
食用油は、316度で火を近づければ燃え出します。
340度くらいになると火が無くても油自体が発火します。
鍋から炎がボォォ〜と上がると焦りますが、そっと鍋蓋をして空気を遮断すれば火は直ぐに消えます。
蓋が無い場合、水が滴らない程度に絞った濡れタオルを被せて空気を遮断するのも有効です。
油の火は、窒息消化です。
油の火が大きくなってしまった場合は、上記のような初期消火方法では消せません。
家庭用のエアゾール式消火器があると安心です。
高いものではないのでキッチンに1本用意しておきましょう。
燃えている油に水を掛けると爆発します!
絶対にやってはいけません。
安全のための熱センサーです。
この記事は、Siセンサー解除を推奨している訳ではありません。
センサーを外すのも生かすのもアナタ次第。
火災が起きても爆死しても、知りません。
自己責任でやってくださいな!
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