今回は、実際にNASをネットワークから使えるように設定して行きます。
「Qfinder」を立ち上げ、ログインをクリックします。

設定完了後に「Qfinder」を立ち上げると、「SMTPサーバは、まだ構成されていません」という警告が出ます。
SMTPサーバは、メールサーバの事です。
メールサーバを設定すると、NASに問題が発生した時にメールでお知らせしてくれます。
離れた場所に居てもメールでNASの不具合を教えてくれる便利機能です。
後で設定できるので、今は【いいえ】で良いです。
メール設定に詳しい方は、ここで設定しても構いません。
ブラウザにログイン画面が表示されますので、ユーザー名とパスワードを入力します。

初期設定でユーザ名などを変更している場合は、その文字を入力してください。
初期設定のままの方は、ユーザ名とパスワードに「admin」と入力します。
ログインすると、ブラウザにメイン画面が表示されます。
このメイン画面を「QTSデスクトップ」と呼びます。
QTSデスクトップの使い方とボタンの意味は、公式マニュアルの【QTS Basics および Desktop】→【QTS デスクトップを使用する】で確認できます。

一般設定を変更する
先ずは、システム設定から見て行きます。
QTSデスクトップから【コントロールパネル】アイコンをクリックします。

コントロールパネルが開いたら、【システム設定】→【一般設定】を選びます。

上に並んだ【システム管理】【時刻】などのタブをクリックすると内容が変更できます。
右上に[?]アイコンがあり、クリックするとその時開いているページのヘルプが見れますが、初心者には難しい専門用語で解説されています。
具体的な設定例も書いてないので、ヘルプの役目を果たせない内容です。
【システム管理】タブ
ここは、NASへのアクセスに適用される設定です。
サーバ名を変更したければ、好きな名前にできます。
システムポートの値は、デフォルトポートの「8080」で構いません。
過去に不正ログインをしようと8080へのアタックが多くあったとの報道がありました。
安全性を高めるなら、ポート番号を8080以外に変更した方が良いと思います。
NASを導入する方は、FTPなどを使ってファイルをインターネット経由でやり取りしたいとか、スマホからNASにアクセスしたいなどの目的かと思います。
そういった目的の場合、NASをインターネットに公開しなければ外部からのアクセスが出来ませんので、セキュア接続にした方が良いでしょう。
「セキュア接続(HTTPS)を有効にする」にチェックを入れ、ポート番号に「443」と入力します。
「セキュア接続(HTTPS)のみを使用する」にチェックを入れると、先ほど入力したシステムポート「8080」を使わない状態にできます。
設定が終わったら【適用】ボタンを押します。
【時刻】タブ
初期設定で設定していれば、変更する必要はありません。
日本国内の場合は「(GMT+09:00)Osaka,Sapporo,Tokyo」になっていれば良いでしょう。
【夏時間】タブ
日本にサマータイムは導入されていないので、設定する必要ありません。
【コードページ】タブ
ファイル名符号化を「日本語」にします。
設定が終わったら【適用】ボタンを押します。
【パスワード強度】タブ
ここは、パスワード設定する際にどういった制限を付けるかという項目です。
条件を厳しくすると、条件に沿っていないパスワードは設定できなくなります。
必要であればチェックしてください。
【ログイン画面】タブ
ログイン画面の背景を設定できます。
デフォルトだと勝手に写真を並べるテンプレートになっています。
うざい方は、シンプルな画面アイコンをクリックしましょう。
「ファームウェアのバージョンを表示する」「リンクバーの表示」をチェックして情報を表示させても良いと思います。
表示するかしないかだけなので、お好きなように。
設定が終わったら【適用】ボタンを押します。
ストレージマネージャ
ストレージマネージャは、NASに搭載されているHDDの状態などを確認する事が出来ます。
特にここでの設定は必要ありません。
念のため「ディスク」を選んでHDDの状態が「良好」になっているか見ておく程度で良いでしょう。
他にもHDDの状態や使用量など色々確認する事が出来ます。
一通り見ておいても良いと思います。
ネットワーク設定をする
ネットワーク周りは、知識が無いと設定方法か判らず苦労すると思います。
一般の方が、ネットワーク機器環境を構築するのは簡単では無いので、NASなどのネットワーク機器導入をためらう原因でしょう。
ネットワーク設定は、一般人にとって大きな壁と言っても良い部分です。
私も面倒くさいなぁ〜と思ってしまう部分です。
昔なら難しくて当然ですが、未だに設定の難易度は高いままです。
人によって環境も目的も違うので仕方ない部分はありますが、どうにかならないものでしょうか・・・。
インターネットをやりたい人が気軽に導入できるようルーターなどは、付属の設定用CDを入れれば、自動設定してくれるようになっています。
NASは、導入のしやすさという面で、まだまだですね。
ここで、インターネット接続時の流れを、ざっくり説明します。
ネットワークの知識が無い方向けの説明です。
インターネットを利用してホームページやブログなどを閲覧する時は、検索エンジンを利用してウェブサイトを探します。
ウェブサイトには、それぞれのページごとにURLがあります。
URLの正式名称は、Uniform Resource Locator(ユニフォームリソースロケータ)と言います。
URLの事を「アドレス」とも呼びますが、言葉からも解るようにネット上の住所です。
URLというのは人が読める英数字で構成されていますが、それをコンピューターが読めるように数字の塊にしたものがIPアドレスです。
IPアドレスは「000.000.000.000」という4つの数字の塊で構成されます。
普段ユーザーは、何も考えずインターネットに接続しています。
ネットに接続する時、どのようにネット通信が行われているか御存知でしょうか?
自分でルーターをセッティングした事がある方は理解されていると思いますが、PCがインターネットにアクセスするには、光回線やADSL(電話回線)などの線がルーターに繋がれ、ルーターからPCに繋がっていると思います。
NTTなどが貸し出すONU(光回線終端装置)の中にもルーターが入っています。
ルーターの役割は、1つの通信回線を多くのネットワーク機器に振り分ける事です。
NASを導入する際もルーターとNAS間をLANケーブルで繋ぐ事になります。
無線LANで繋げばLANケーブルは必要ありません。
サイトを見に行く時、ルーターは接続先のサイトとIPアドレスをやり取りしています。
PC「私のIPアドレスはこうです」→接続先サイト「IPアドレスを確認したから繋げるよ」→PC「表示できました」ってな感じです。
接続先サイトは、どのIPアドレスから接続があったという記録を残せます。
アクセスログと呼ばれるものです。
不正アクセス事件なんかで、犯人が接続したのが解るのはこの仕組みのお陰です。
グローバルIPとプライベートIP
IPアドレスには、グローバルIPとプライベートIPという2種類があります。
プロバイダから付与されるIPアドレス値は、基本的に固定されておらず、一定の時間で勝手に変更(再割り振り)されます。
通信中に変更される事もありますし、モデムやルーターの電源を入れ直したタイミングで変更される場合もあります。
この動的IPの事を、グローバルIPと言います。
グローバルIPは、家の外のネットワーク(インターネット)に接続するために必要なものと思って良いです。
グローバルIPの再割り振りは、いつ起こるか解らず、プロバイダの都合で突然予告なくこっそり変更されます。
何で?と思われる方も居るでしょうけど、そういうものと思ってください。
IPv4の数が足りなくて云々と面倒な説明になるので、理由は省きます。
普通にパソコンでインターネットするだけなら良いのですが、NASの場合はグローバルIPの変更があると外部から繋がらなくなります。
変更があっても問題が起きないようにする為に、ダイナミックDNSというサービスを使って対応します。
一方、プライベートIPというのは、閉ざされたネットワーク内のIPアドレスで、ローカルIPとも呼ばれます。
こちらは、自宅や社内だけのネットワーク接続で、外部(インターネット)へのアクセスは出来ません。
自宅や社内などにネットワーク環境を構築する場合、機器ごとにユーザーが好きなIPアドレスを割り当てて固定する事ができます。
使われているネットワーク接続機器がPC1台なら設定する必要はありません。
PCとNASなど、複数の機器がある場合は、電源が入っている機器の数次第でプライベートIPアドレスが変動します。
ルーターは電源の入った機器の順にプライベートIPアドレスを割り振る機構なので、IPアドレスが変動してしまうのです。
プリンタやNASのIPアドレスが固定されていないと、住所が解らずネットワーク内で行方不明になってしまいます。
プライベートIPアドレスの変動を防ぐために、NASやプリンタなど共用する機器のプライベートIPアドレスを固定してやる必要があります。
プライベートIPを一番簡単に固定するには、ルーターにNASのMACアドレスを入れて、固定IPを払い出してやる方法です。
NAS側の設定でDHCPにしておけば、ルーター側で固定されたIPが使われますので面倒がありません。
ただ、私が使っているルーターはショボイので「固定IPの払い出し」機能がありません。
仕方ないので、NASの設定でプライベートIPアドレスを固定してやります。
IPアドレス、ルーター、グローバルIPとプライベートIP、IP固定、DHCP、ダイナミックDNS・・・いっぱい専門用語が出てきて、非常に解りづらいですよね。
何言ってるか意味不明なんすけど!って方もいると思います。
解らなくても設定さえ出来ればNASが使えるようになるので、ここを参考に設定してみてください。
【TCP/IP】タブ
ここはNAS接続時のネットワーク設定をする場所です。

IPアドレスという欄の上段に「イーサネット1」という欄があります。
左端に「編集」ボタンがあるので、クリックすると[TCP/IP・プロパティ]というウインドーが表示されます。

【ネットワークパラメータ】タブ内の設定
ネットワーク速度は「自動ネゴシエーション」で良いです。
スタティックIPアドレスの使用にチェックを入れます。
固定IPアドレスを調べるには、コマンドプロンプトという昔のMS-DosというOSで使われていた命令形式を使い情報を得ます。
WindowsPCに繋がっているルーターのアドレスを調べる方法は以下の通りです。
1.「スタート」→「ファイル名を指定して実行」→「cmd」を入力
2.コマンドプロンプトという黒い画面が表示されます。
3.「ipconfig /all」と入力して、キーボードの「Enter」を押します。

IPv4アドレス(又はIP Address)に記載された値を参考に、スタティックIPアドレスの「固定IPアドレス」欄に入力します。
多くの場合、IPv4アドレスは「192.168.1.1」などの数字だと思います。
「固定IPアドレス」欄に記入する値は「192.168.1.xx」といった具合です。
xxは、2〜255までの好きな数値で構いません。
但し、接続している他のパソコンや機器と同じアドレスは、重複しているので使えません。
複数台のパソコンやプリンターなど、多くの機器を繋いでいる場合は、既にアドレスが使われている可能性があるので注意しましょう。
空いているIPアドレスを調べるには、次の方法が簡単です。
接続されているネットワーク機器全ての電源を入れた状態で調べて下さい。
1.「スタート」→「ファイル名を指定して実行」→「cmd」を入力
2.コマンドプロンプトという黒い画面が表示されます。
3.「ping 192.168.1.xx」と打ち込み「Enter」を押して少し待ちます。
xxは調べたい値です。
例えば、「ping 192.168.1.50」と入力して、「宛先ホストに到達できません」と表示されたらそのアドレスは空いているアドレスです。
サブネットマスク(又はSubnet Mask)に記載された値を、そのまま「サブネットマスク」に入力します。
こちらは「255.255.255.0」という値が一般的です。
デフォルトゲートウェイに記載っされた値を、そのまま「デフォルトゲートウェイ」に入力します。
「192.168.1.1」といった感じです。
「Jumbo Frame(MTU)」ジャンボフレームとは、ネットワークで一度に送るパケットを大きくして、転送効率を上げる仕組みです。
大きなサイズのデータ転送を早くするのに効果はありますが、小さいサイズの転送が遅くなる場合もあります。
初心者には、適正な設定値を割り出すのが難しいのでデフォルトの「1500」に設定しとけばいいと思います。
全て記入を終えたら【適用】ボタンを押します。
ちょっと紛らわしいのですがここで固定したのは、プライベートネットワーク上でのIPアドレスです。
NASのIPアドレスを固定をするための設定です。
【DHCPサーバー】タブ内の設定
私の設定パターンでは、ここは使用しません。
【TCP/IP】タブの画面に戻り、【DNSサーバ】の設定をします。

「DNSサーバ」ドメイン ネーム システム(Domain Name System)は、URLとIPアドレスの対応付けするシステムです。
PCからサイトにアクセスする時に「このURLに行きたいです」と言うと、DNSがIPアドレスという住所を教えてくれます。
IPアドレスという住所が解ったPCは、直接そこにアクセスしてサイトが表示されるわけです。
ルーターが設定しているDNSサーバ値は、先ほどやったコマンドプロンプトで調べられます。
1.「スタート」→「ファイル名を指定して実行」→「cmd」を入力
2.コマンドプロンプトという黒い画面が表示されます。
3.「ipconfig /all」と入力して、キーボードの「Enter」を押します。
DNSサーバーの値として「192.168.1.1」などの値が表示されるはずです。
この値をそのまま使っても良いのですが、これはルーターが割り当てたDNSサーバーアドレスなので少し遅いです。
速度と安定性を求めるならプロバイダが用意しているDNSサーバを使うのが良いです。
プロバイダとの契約後に開通通知書が送られてきますが、プライマリ、セカンダリのDNS値の記載があると思います。
書かれていない場合は、ルーターの設定画面にログインして、ステータス情報や詳細情報などを見ると記載されています。
ルーターへのログイン方法は、使用しているルーターの説明書を見てください。
プロバイダのDNSアドレスがどうしても解らない場合は、GoogleのパブリックDNS「8.8.8.8」を入力しても構いません。
【デフォルトゲートウェイ】
「次の設定を使用する」欄は、上記で設定したイーサネット番号(LAN)をプルダウンから選んであげます。
全て記入したら【適用】ボタンを押します。
【ワイヤレス】【IPv6】【サービスバインディング】【Proxy】タブ
【ワイヤレス】
ワイヤレスネットワークを使用している時に設定する部分です。
NASをWi-Fiに接続する場合は、ワイヤレスドングルをNASのUSBポートに差し込みます。
ワイヤレスアクセスポイントのリストが検出されますので、接続します。
無線LANはどうしても通信速度が遅くなるので、私はLANケーブルを使い有線でPCとNASを接続しています。
よって、この無線LAN設定は使用していません。
【IPv6】
将来的には、必要になってくると思いますが、今は必要無いので有効化していません。
【サービスバインディング】
ローカルIPアドレスから特定の人だけがアクセスできるようにする等の場合に使う機能です。
オフィスなどでNASを使用する場合に、LANポート別にアクセス権限を持たせると便利に使えます。
私の場合は自宅にNASを設置しているので制限は付けていません。
【Proxy】
プロキシサーバーでの接続をする際に設定します。
串を刺すなんて言い方をします。
匿名性を高めるため、セキュリティ強化のためなど代理サーバ経由で目的のサイトへアクセス出来ます。
普通にインターネットしたり、NASへのファイルアクセスには全く必要が無いので、私は設定していません。
ちょっと長くなったので、今回はこの辺で。
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